円安になると必ず頂く質問「輸入より輸出ビジネスの方が良い?」について
一時期、急激な円高が進みニュースで話題になりましたね。
数か月前まで1ドル100円ちょっとだったのに、
短期間で一時期1ドル150円まで異常とも言えるスピードで円安が進みました。
この記事を書いている現時点では1ドル130円前後に落ち着きましたが、
それでも一昔に比べるとかなりの円安です。
輸入や輸出ビジネスをやっている方にとって、為替レートの大変動は死活問題です。
例えば1ドル100円が1ドル150円になると、
対ドルで輸入ビジネスをしている方は、
仕入れ値が単純計算で1.5倍になってしまいます。
(実際はもう少し抑えられますが)
これはドル/円の話ですが、中国の元もドルほどではありませんが円安傾向です。
輸入ビジネスにおいて円安はそのまま仕入れ値の増大、
つまり利益の減少に直結します。
ですが、円安だからと言ってその分を
商品価格に転嫁=商品価格の値上げを行うのはなかなか難しいです。
1.5倍円安になったからと言って自分だけ商品価格を1.5倍にすれば、
当然他の値上げをしていない事業者の商品が買われてしまいます。
もし全業者が一斉に値上げしたとしても、その場合は安価な類似品が買われるか、
もしくは単純に類似品を含めた
そのカテゴリーの商品すべてが売れなくなる可能性があります。
いずれにしても、不用意に商品価格の値上げを行うと、
売上そのものがなくなってしまうかもしれません。
円安はあくまでも輸入する側の都合であって、
ユーザーに対して円安を理由に値上げを理解してもらうのは難しいでしょう。
このように円安は、
私たち「海外からの輸入をしている事業者」にとっては頭の痛い問題です。
ですが、もしこれが輸出ビジネスだとどうでしょうか。
まずはこちらの記事を読んでください。
『円安に進む事によるeBay輸出のメリットとは』
https://www.ebay.co.jp/info/cbt-blog/cbt-pb15
これはアメリカの大手ショッピングモール「eBay」の、日本法人が出している記事です。
eBayとは、簡単に言えば「海外へ簡単に輸出できるプラットフォーム」です。
例えば、日本の商品を世界中に「輸出」販売したいときなどに利用されます。
多くの方がこの時点でお気づきだと思いますが、輸出業の場合、先ほどの
「円安により輸入業者が受けるデメリット」がそのままメリットになります。
先ほどのeBayの記事の中にも、
現在の円安状況について「同じ努力をしても、何もせずとも単純に利益が増える」
とありますが、まさにこれです。
1.5倍円安になった場合、輸入業者は仕入れ価格が1.5倍になって利益が激減しますが、
輸出業者は販売価格が1.5倍上がって大きな利益を得られます。
まさに「風が吹けば桶屋が儲かる」状態で、我々輸入業者にとっては厳しい円安も、
輸出業者にとっては歓迎すべき状況なのです。
円安になると必ず聞かれる質問
こうした状況になると、必ず私の元に
「輸入業から輸出業に切り替えたほうがいいでしょうか?」
という質問が来ます。
逆に急激な円高になった場合は、先ほどのeBayのような輸出事業者の元に
「輸出業から輸入業に切り替えたほうがいいでしょうか?」
なんて質問が行くのではないでしょうか。
円安、円高の影響を受け、今の事業に対して不安を持つ気持ち自体はよく分かります。
ですが、円安の際に「輸出業に切り替えたほうがいいか?」という質問に対し、
私の答えは常に同じです。
「円安になったら輸出、円高になったら輸入と、
フラフラしているようではいつまで経っても事業は伸びません」
「輸出業に切り替えたほうがいいか」という質問をしてくる人は、
「現在事業がうまくいってない人」が多いです。
いま取り組んでいる輸入ビジネスがうまくいかず、
そこに円安が追い打ちをかけて不安になってしまっているのです。
ただ、輸入ビジネスで結果を出せていない人が
輸出ビジネスに切り替えたところでうまくいくはずがありません。
なぜならこうした方々は、「輸入ビジネスだからうまくいかない」のではなく、
「そもそもビジネスの本質を理解していない」からです。
ビジネスを理解していない方が、
輸入ビジネスから輸出ビジネスに切り替えたところで成功するとは思えません。
もちろん、「超円安に進んでいる」とか、
「輸出ビジネスの方が自分の性に合っている」といった例はあるでしょう。
ですが、私個人としては「輸入にしろ、輸出にしろ、
一度取り組んだらまずはとことん突き詰めてやらないと結果は出ない」
と考えています。
元々ビジネスは「脇目も振らず一直線に突き進む」方でないと成功しません。
あっちにフラフラこっちにフラフラと、
「となりの芝生は青い」とか「風見鶏」のようなメンタルで
ビジネスに取り組んでいれば成功するはずがありません。
なぜなら、フラフラしている方は「失敗した時の事を考え、
常に安全マージンを取った逃げ腰の姿勢」でビジネスをやっているからです。
本気で取り組んでいない、コロコロ業態を変える方は、
情報収集も実践経験もすべてが中途半端なまま終わります。
最終的にお金も知識も残らず、
ただ時間とお金を浪費しただけで終わってしまうでしょう。
輸入ビジネスを一度やると決めたら、まずは徹底的に輸入ビジネスを極めてください。
輸入ビジネスを極めれば円安や円高で惑わされない
今回の内容は
「輸出ビジネスよりも輸入ビジネスの方がおすすめ!」的な単純な話ではありません。
輸出ビジネスであろうと輸入ビジネスであろうと、
「一度始めたことを為替や世界情勢といった外的要因を言い訳にして
コロコロ業態を変える」姿勢がダメと言っています。
先述したように、こうした方はちょっと円安になると輸出ビジネスに鞍替えし、
逆にちょっと円高になったらすぐに輸入ビジネスに戻ってくると思います。
中には、それでうまく利益を得られる人もいるかもしれません。
ですが、私は今まで安易な鞍替えで成功した人を知りません。
確かに円安や円高は利益に直結する直接的な要因で、
海外ビジネスをしている方全員にとって関心の高い要素です。
そのため、為替を気にしている方は急激な円安や円高になって不利益を被ると、
「もしかしてずっとこのまま…」なんて不安になってしまうかもしれません。
ただ、FXなどをやったことがある方はご存知かもしれませんが、
円安や円高が一方的にずっと進むことはありません。
今回の円安も150円まで進んだ際に専門家からは「1ドル200円も見えてきた!」
なんて論調がありましたが、いったん130円前後まで戻ってきました。
急激な変動や、経済に多大な影響があれば必ず政府の介入や
個人や機関投資家の利確売りなどがあり、
どんな円安や円高も必ず一定のラインで止まります。
永遠に円安が進んだり、逆に永遠に円高が進むことはありません。
数十年単位の超長期的なチャートを見れば一方的に見えるかもしれませんが、
数年単位で見た場合、為替は上がったり下がったりしながら進んでいるのです。
なので、短期の円安や円高に一喜一憂して鞍替えを検討するより、
「この厳しい状況下で、
それでもどうにかして利益を出す方法」を考えるべきです。
今回のような急激な円安という大きなピンチにおいて、
それでも知恵を絞り利益を確保して生き延びることができれば、
その経験は今後のビジネスにおいて代えがたい貴重な財産となるでしょう。
ピンチに対する対策知識やメンタル面の強化はもちろん、
例えば円安が終われば「円安で失っていた利益の復活と、
ピンチの時に思いついた新しい工夫による利益」と
売上の面でも大きなメリットを得られます。
ビジネスをやっていれば、
今回の円安並みの大きなトラブルやピンチは形を変えて何度も訪れます。
そんな時に逃げ癖がついていたら、
いつまで経ってもビジネスは大きくなりません。
何度もピンチを経験し、その都度知恵や工夫で乗り切ることができれば、
いつしか事業は「多少のピンチではびくともしない盤石な体制」
に育っているでしょう。
輸入ビジネス、もしくは輸出ビジネスに取り組んでいる方は、
目先の円安や円高に惑わされず、
今あるビジネスを守り育てていくための知識と実力を育ててください。
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