経費削減のために代行業者を乗り換えて痛い目に遭った話
中国輸入ビジネスにとって「輸入代行業者」の存在は欠かせません。
中国から商品を仕入れる際、私たち(日本)とショップ(中国)の中間に立って、注文の取りまとめ、中国国内の配送、日本への輸送等を代行してくれる大変便利な業者だからです。
現在この中国輸入代行業者の数は、数十社から100社以上とも言われています。
その中からやっと一つの業者に絞って契約しても、その後使い続けているうちに料金やサービスで大きな不満や、小さな不満が出てくることもあるでしょう。
とはいえ、一度契約すると業者の変更は簡単ではありません。
新たに契約する業者が今契約している業者より良いという保証はどこにもありませんし、不満がありつつも今まで長く付き合ってきた業者を変更するのは怖いですね。
実は私も過去、一部の業務を別の中国輸入代行業者に切り替えた経験があります。
ですが、この切り替えは結論から言うと大失敗に終わりました。
今回は皆さんの参考になれば、ということで私が代行業者を変更しようとした理由や経緯、その結末について語っていきたいと思います。
・今後中国輸入業者を使う予定のある方
・今実際に代行業者を使っていて不満がある方
・今の代行業者に不満はないけど乗り換え・比較に興味のある方
このような方にとっておそらく非常に参考になる内容ですので、ぜひご一読ください。
当時契約していた代行輸入業者から、コストの安い業者への乗り換えを検討
私が輸入代行業者の乗り換えに興味を持ったきっかけは、当時使っていた代行輸入業者(A社とします)の料金に関する本当に小さな不満からでした。
A社はサービスや対応に関しては完璧で、気も利くしミスもほとんどなく、本当に頼りになる業者だったので安心して商品を任せていました。
ただ、「国際送料」と「代行手数料」が他の業者よりも高く、ちょっとコストが気になっていました。
現在では改定されていますが、当時は国際送料が他社より1.3倍~1.5倍くらい高く、代行手数料も無料の業者がある中でA社は10%を超えていました。
サービスには満足していたものの、この手数料の高さがいつも心のどこかで引っかかっていたのです。
そこで色々な業者を調べてみると、A社よりもコストの安い業者がたくさん見つかりました。
A社と他の業者のコストを比較し、計算してみると乗り換えによって大きく物流コストを下げられる可能性がありました。
輸入ビジネスでは、物流コストの削減はそのままダイレクトに利益に直結しますし、事業をされている方ならこの気持ちを分かっていただけるのではないでしょうか。
とはいえ、A社のサービスや対応面は100点でしたし、他の業者の対応が不透明な中「いきなり他の業者にすべて切り替える」のはあまりにリスクが高いと思いました。
そこで私はまずは一部、「単純転売品など、取り扱いの難易度が低い商品を他社(X社)に切り替える」事から始めたのです。
X社は国際送料や代行手数料と言ったコストがA社よりもかなり安く、さらにA社ではExcelでの発注だった注文がWEBからできるなど、いくつも魅力的な点がありました。
事前調査では提供サービスもA社とほぼ同等でしたし、対応は悪くない上に料金が安いなら言うことは無いと、私はX社に一部の商品を切り替えてみることにしたのです。
目算では物流費用は約10%程度、うまくいけば20%ほど削減できる予定でした。
乗り換えた結果…早くも後悔しました
X社に乗り換えた商品は新規出品商品ではなく、何度も仕入れて販売していて仕入れ先も品質も安定している物でした。
新規代行業者に依頼する際のリスクヘッジとして、商品に関する細かいやり取りや問い合わせが発生しない、安定したリピート商品のほうが良いだろうという判断からです。
ところがX社に乗り換えた直後、いきなりトラブル頻発です。
X社の売りの一つのはずだったWEB発注システムですがこれが非常に使いにくく、到底「WEB発注システム」とは呼べない代物だったのです。
・発注レイアウトはめちゃくちゃで記入に時間がかかる
・更新すると商品リストが見られなくなる
・発注後に受領の連絡がない
これで「システム」と謳うのは無理があります。
特に発注後に連絡がこないというのは、本当にきちんと受注されたのかどうかがわからないため非常に不安でした。
お金に関することなので本当に焦りますし、言葉は悪いですがいらだちも募ります。
これは後日分かったのですが、発注後にちゃんと発注や更新自体はされていて、手配状況などもちゃんと更新されているものの、連絡はこない仕様になっているというものでした。
かなり、と言うかあり得ないほど不親切なシステムですが、これはこういうもので慣れれば何とかなるだろうと、自分自身でこまめに更新をチェックする方法に切り替えました。
ですが当然「こまめにチェックする」という余計な工数が増え、この時点で私はかなりうんざりしていたのを覚えています。
その後もX社では商品の手配にもかなりの時間がかかり、何度も催促や確認をしなくてはならないというトラブルが続きました。
X社に切り替えたことで、FBA納品指示もA社と勝手が違いますし、あれもこれも確認したり催促したりと、あらゆる面で工数や面倒が発生する状況になってしまいました。
もちろん経費削減のために多少の工数アップは織り込み済みでした。
ですが当初の予定をはるかに超える工数に半ば後悔しつつ、それでもまだこの時点では「これで物流費用が10%以上削減できればいいか」とギリギリ思っていました。
その後、色々ありながらも根気強くX社と取引を続けた結果、当初の概算通り10%弱の経費削減に成功。
確かに面倒な作業や小さなトラブルが多いX社でしたが、一番の目的であった物流コストの削減が目標通りの数字で達成できたので、その後も取引を継続することにしたのです。
大事件が発生し、心が折れた…
なんだかんだ言いつつも、X社との取引にも慣れてきたことを実感しつつあったある日、とうとう大事件が起きてしまいました。
ある日、Amazonで売れてFBAからお客様の元に発送した商品が、サイズ違いで返品されてしまうというトラブルが発生しました。
返品された商品を確認すると、FBAの商品送り間違えなどではなく、そもそも私が中国のショップに発注したサイズと全然違います。
私が注文したものと違うものがFBA倉庫に搬入されていたのです。
当然私はAmazonの商品ページを自分が発注したサイズで作成しているので、納品されたものが異なれば、注文したお客様の所には間違ったサイズがそのまま届いてしまいます。
つまり中国の製造メーカーから輸入代行業者のX社へ納品された時点で、すでに私の発注したサイズと違っていたということになります。
物流事業者である以上、どこだって自社に納品された商品のサイズや商品が合っているかなどの簡易チェックくらいはするはずです。
そこで私はすぐにX社へ連絡したところ、担当者から耳を疑うような衝撃的な回答がありました。
「注文したサイズが無かったらしく、別のサイズを中国メーカーが送ってきたから当社もそのまま納品した」
言っている意味がまったく分かりません。
デザインが一緒でもサイズが違えば別の商品です。
X社は、届いた商品が別の商品であることを分かっていながら納品して受領し、そのままFBAへ納品したということになります。
嫌な予感がして、X社経由でFBAに納品したFBA在庫をすべて返送してもらいチェックしたところ…全部発注したものとは違うサイズの物でした。
正直、青ざめました。
もし確認が遅れて何人ものユーザーから返品されてしまう状況になっていれば、Amazonからアカウント停止などのペナルティを受けていたかもしれません。
そうなると事業存続の危機ですし、そうでなくても私の事業や商品に対する信用にかかわります。
あまりの大惨事に眩暈がしましたが、とりあえず早急に対処。
すぐに販売中の商品ページを削除し、正しいサイズの新規商品ページを作って在庫を処分。
もちろん以前から付き合いのあったA社では、こんな意味不明な状況は一度も起きていません。
いい加減な仕事したX社に対して沸々と湧き上がる怒りを抑え込み、できる限り冷静に再度X社に連絡をし、今回のトラブルで発生した損害や商品代金の補填を求めました。
ですがX社の回答は「商品自体は納品したので補填はお受けできません」というものでした。
「正しい商品を納品していない」のに「商品を納品した」とは一体どういう理屈なんでしょうか。
とはいえ、「対応しない」の一点張りでらちが明かなかったので、仕方がなくこの件について泣き寝入りしました。
結局この事故が起きるまでのX社との取引で削減したコストは、今回の事故対応工数でチャラ。
いえ、手間と時間を考えたらチャラどころか大きな損失です。
もちろんその後X社との取引は停止しました。
この大事件の前からX社の使いにくいシステムやいい加減な対応、A社との仕組みの違いによる2重作業と言ったストレスがあったところに、今回の事件で完全に心が折れてしまいました。
幸い、最初からリスクヘッジでリピート商品しか切り替えていなかったので、再切り替え作業自体は大きな問題も時間もかからず元に戻すことができました。
私の代行業者乗り換え作戦は、目先の利益に固執した結果、「安物買いの銭失い」という散々たる結果で幕を閉じたのです。
代行業者を乗り換えて学んだこと
中国輸入業者は数多くあり、その料金やサービスはピンキリです。
中には現在利用している代行業者よりも料金が安くて、サービスの良い業者もあるかもしれません。
より良いサービスを提供する業者や、コスト削減ができる業者を探して乗り換えを検討すること自体は決して悪いことではありません。
経営者、事業者であればその判断や選択は当然のことで、むしろそういう意識がないほうが問題です。
ですが、中国輸入ビジネスにおいて大事なパートナーとなる代行輸入業者を決めたり、乗り換える場合、料金の安さだけではなく「その他の要素」も考慮しなくてはいけません。
・サービスの質
・対応
・仕事の正確性
・実績
「料金が安い」という点だけで決めるのではなく、「やってくれる仕事やサービスに対して料金が安い」かどうかで選ばなくてはいけません。
・「きっちり仕事をする、安心して商品を任せられる月額10万円のA社」
・「適当でトラブルだらけの会社だけど月額5万円のX社」
皆さんならどちらを選びますか?
例えX社を選んで月5万円節約したところで、今回の私の例のように余計な工数や、大きなトラブルが起きてしまえばその対処でコストが跳ね返ってきます。
もしその対処にかかった時間や工数で、本来5万円以上得られるはずだった時間を失ってしまえば本末転倒ですよね。
業者乗り換えの際は目先の数字や金額に飛びついてすぐに実行するのではなく、必ず一呼吸おいて、しっかり検討したうえで計画的に行いましょう。
・乗り換えはいま必要か
・その業者は本当に「安い」のか
・サービスや評判はどうか
・リスクヘッジできているか
考えなくてはいけないことが山ほどあります。
繰り返しになりますが、中国輸入代行業者は長い付き合いになる大事なパートナーです。
熟慮して、慎重に慎重を重ねて検討しましょう。
とはいえ、最初から業者の良し悪しが正確に見極められるなら苦労しませんよね。
優良な業者を見極めるポイントはなかなか難しい問題ではありますが、1つ私からアドバイスをするとしたら、代行業者に「専属サポート」があるかどうかを見ましょう。
専属サポートサービスがあれば、乗り換えの事前準備の段階からサポートしてくれますし、新規契約はもちろん、現在進行形でビジネスを進めている方の乗り換えもスムーズにいくでしょう。
そのサポートの対応で会社の質を推し量ることもできます。
この専属サポートサービスは、事業規模が多ければ多いほど有用になってきます。
中国輸入代行業者を選ぶ際は「契約・乗り換えがスムーズにいくよう、ビジネスが停滞しないようサポートしてくれる体制」があるかどうかは単純な料金以上に重要だと思います。
ビジネスにおいて何よりも重要なのはコストの削減ではなく、「ビジネスが滞りなく、スムーズにいくかどうか」です。
コスト削減はあくまでも「ビジネスがスムーズに行っている」状態からの次のステップです。
安易に削減にとらわれて、一番大事な「ビジネスの流れ」を止めないように注意しましょう。
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