ABC分析とパレートの法則で本当に儲かっている商品を見つけよう!
筆者は数多くの商品を中国から輸入し、販売しています。
その中には売れなくてすぐに販売を止めてしまうものもあれば、長期間ずっと売れている商品もあります。
大小の差はあれ、同じビジネスをやっている皆さん全員そうではないでしょうか。
ところで、多くの方が一般的に考えて「長期間売れている商品=よく売れる優秀な商品」と思っているのではないでしょうか。
ですが、実は「長期間売れている商品=優秀な商品」ではないのです。
中には「長期間売れているだけで利益はほとんど出ていない、もしくは低い商品」もあります。
「売上」には貢献しているものの、「利益」は出ていない。
初心者の方にとってはちょっと不思議な状況に思えるかもしれませんが、「売上」と「利益」は完全に別物です。
物販ビジネスでは「売れている商品」ではなく、「売れて利益が出ている商品」を把握して集中的に売っていく必要があります。
今回は「儲かっている商品・利益の出ている商品の見つけ方」について解説します。
「本当に儲かっている商品」を把握していますか?
ビジネスを始めた直後は、扱っている商品の数も作業量もそう多くはないので、基本的に細かく商品を見ているはずです。
・仕入れ価格はいくらか
・販売価格をいくらにすればいくら利益が出るのか
・今月どの商品がいくつ売れたか
・どの商品でいくら利益を上げたか
このように、商品1つ1つを細かく分析しているでしょう。
ところが、扱う商品の数が増えてくると1つ1つに細かく気が回らず、「ビジネス全体でいくら利益が出たか」というトータルで考えがちになります。
そうなると、細かく見るのは扱っている商品のごく一部、「売れている商品」のみになり、売れていない商品にはなかなか目が行き届かなくなります。
結果、「売れている商品があるからトータルで利益は出ているけど、他の商品の利益はよくわからない」というどんぶり勘定になってしまうのです。
当たり前の話ですが、物販ビジネスというのは1つ1つの商品の利益の積み重ねでできています。
「売れている花形商品があって、全体収支でプラスだからいいや」、では正しい経営とは言えません。
売れていない商品、利益の出ていない商品はこれ以上損失が広がらないよう早急に在庫処分して、損切りする必要があります。
利益が出ていない、作業料と経費だけ掛かるような商品は持っていても損でしかなく、そんなものに労力やお金をかけるなら、他の商品に時間とお金をかけるべきです。
そして中には「売れているけど利益は出ていない商品」もあるかもしれません。
当たり前の話ですが、「売れている=利益が出ている」ではありません。
利益は売上(粗利)から原価や手数料を差し引いた後に残る物です。
極端な話ですが、1万円で商品が売れても、仕入れや手数料で1万円かかっていたら何百個売っても利益は0円です。
こうした商品も、労力やお金をかけるべき商品ではありません。
このように、売れている商品、売れていない商品、利益の出ている商品、利益の出ていない商品など、その状態は商品によって様々です。
もちろん利益が出ている商品はそのままで構いませんが、売上にかかわらず利益が出ていない商品は販売を止め、その労力や資金を別の商品に回す。
「儲かっている商品を把握する」のはこうした経営の効率化を進めるためです。
そして「儲かっている商品を把握する」のに必要なのが、「商品1つ1つ、データに基づいた検証・分析をする」ことです。
ABC分析とパレートの法則で商品を売上と利益別に分類する
売れている商品や、利益の出ている商品を分析するためによく使われる方法が、「ABC分析」と「パレートの法則」です。
ABC分析とは
ABC分析とは、「重要度で分類する方法」です。
・重要度 高…A
・重要度 中…B
・重要度 低…C
このように商品やデータを重要な順にグループ分けする方法で、「重点分析」とも言います。
例えば物販では商品群を以下のように分類します。
・よく売れている商品 …グループA
・そこそこ売れている商品…グループB
・売れていない商品 …グループC
グループ分けすると、「重点的に販売すべき商品」と、「在庫処分すべき商品」がざっくり把握できます。
パレートの法則とは
パレートの法則とは「80:20の法則」とか「2:8(ニッパチ)の法則」とも呼ばれる、「経済における数値の大多数は一部が生産している」というものです。
例えば、商品を10種類扱っていて、毎月の売上が100万円あるとします。
この場合、100万円の売上のうち、80万円は10個の中のたった2個が作りだしているというものです。
もちろん法則なので、必ずしも80:20になるわけではありませんが、物販を含め多くのビジネスで使われてきた法則です。
ビジネスで有名な「働きアリの法則」もこのパレートの法則の亜種です。
数値の差はあれど、ビジネスではある程度この法則に沿った傾向になるのは確かです。
ABC分析とパレートの法則を使った簡単な分析方法
ではこのABC分析とパレートの法則を自分の商品に当てはめてみましょう。
80:20の法則に従い売上の大半(80%)を作っている商品をグループA、残りの20%を作っている商品をグループB、それ以外をグループCに分類します。
これで商品の売れ行きや全体像が何となく把握できるようになったはずです。
ただしこれではまだ不十分です。
なぜならこれはあくまでも「売上で分類している」にすぎず、利益が出ているかどうかは別問題だからです。
売上の大半をグループAが作り出しているからと言って、利益の大半をグループAが作り出しているとは限らないのです。
ひょっとしたら本当に利益を出しているのは、そこそこしか売れていないはずのグループBの商品だった、という笑えない状況だってあり得るわけです。
分析を使って売上でも利益でも優秀な商品を見つける
先ほどの「売上のABC分析」はいったん忘れてもらって、次に「利益のABC分析」で利益を出している商品を分類してみましょう。
しっかり利益の出ている商品をグループA、そこそこ出ているものをグループB、出ていない商品をグループCと分類します。
すると分析テーブルには6つのグループが並びます。
1.売れている商品 (売上グループA)
2.そこそこ売れている商品 (売上グループB)
3.売れていない商品 (売上グループC)
4.利益の出ている商品 (利益グループA)
5.そこそこ利益の出ている商品(利益グループB)
6.利益の出ていない商品 (利益グループC)
この6つのグループを照らし合わせて、色々な角度から商品の状態を確認してみましょう。
例えば、売上分析でも利益分析でもグループAだった商品は「どんどん力を入れて売るべき優秀な商品」です。
逆に「売上でグループAだったけど利益はグループBだった」商品は、そこまで力を入れなくていい商品です。
このグループは「売れているだけで利益の出ていない商品」なので、全力を注いでも労力と利益が釣り合いません。
ただし、売れていて多少なりとも利益が出ているので、テコ入れをすれば利益が伸びるかもしれません。
設定価格などを見直してみるといいでしょう。
売上でも利益でもグループCだった商品は、扱っているだけ無駄ですので早急に損切り、在庫処分しましょう。
こうして分析を行うことで、商品の状況や経営状況がかなり具体的に見えてきますし、改善への道筋も見えてきます。
なお、Excelが得意な方は、関数やマクロを使った商品一覧表を作ることで簡単に売上や利益率を出せる表を作成することも可能です。
自分で作っても良いですし、得意な方にお願いしてもいいかもしれませんね。
分析は慣れ!まずは時間がかかっても良いからやってみよう
「売れている商品だからガンガン売ろう」
この考え方自体は決して間違っていませんが、先述したように「売れているだけで利益が出ていない商品」もありますので、売れているというだけで判断するのは早計です。
基本的には「売上無くして利益なし」なので、売上ももちろん大事ですが、最終的に大事なのは手元に残る「利益」です。
ビジネスを成長させるためには、こうした商品の売上と利益、両方を分析して自分の商品や経営の状態を正しく把握しておく必要があります。
分析は確かに面倒です。
また、商品をたくさん扱い始めると仕入れと管理に追われ、分析どころじゃなくなるかもしれません。
私も同じビジネスをやっていますので、「めんどくさい」「忙しい」というのは十分理解できます。
ですが、「各商品の売上と利益の把握=経営状況の把握」です。
経営状況次第で利益が変わり、今後のビジネスにも大きな影響が出ます。
例えば今後商品の仕入れの量や幅を増やしたいとか、商品を開発したいといった、ビジネスの拡大をしたいときの資金は「利益」からしか出ません。
また、利益の出ていない商品はどんどん切り捨て、「売れていて利益の出る商品」の割合を増やしていくことで「少ない労力で大きな利益が出る」ようになります。
すると、利益はしっかり出ているのに管理や作業量には余裕が出るようになり、さらにビジネスを拡大しやすくなります。
ビジネスの拡大はこうした効率化&好循環の繰り返しです。
早めにこの正しいサイクルに入れるよう、また「忙しいのに儲からない負のサイクル」に入らないよう商品の分析と把握はしっかり行っておきましょう。
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