Amazonマルチチャネルサービスが停止する可能性について考察
新型コロナの影響は私たちの生活はもちろん、ビジネスにも大きな影響を及ぼしています。
例えばアメリカのAmazonでは「他社向け集配サービス一時停止・自社配送に集中」というニュースが出ました。
これはAmazon shippingという小売りから商品を集荷して、ユーザーに配送するサービスの停止を伝えるニュースですが、このサービスは現在日本では行っていません。
ですが「なんだ、アメリカのサービスの話かー」と安心してはいけません。
日本にも「Amazonマルチチャネル」という、似たような仕組みのサービスがあるからです。
Amazonシッピングが一時停止になったということは、同種のサービスである日本のAmazonマルチチャネルが停止する可能性だって十分にあるということです。
それを裏付けるかのように、先日Amazonベンダーセントラル(Amazonとの直接取引を行っている事業者向けのサービス)から1通のメールが来ました。
「新型コロナウィルスに関わるAmazon物流拠点への一時的な優先入荷について」
メールの内容を要約するとコロナの影響によるEC需要の高まり、そしてそれを扱う人員の不足により、生活必需品以外の納品を一時的に制限するというものです。
今回は筆者含め、ベンダーセントラルを利用している一部の卸業者のみが対象でしたが、こういった制限がいつ多くの人が使っているセラーセントラルに波及するかわかりません。
納品だけではなく、アメリカの例のようにマルチチャネルが停止してしまう可能性だって十分に考えられます。
もしマルチチャネルが停止してしまったら、サービス利用者はAmazonでのビジネスのみならず、他のプラットフォームでの販売にも影響してしまいます。
とはいえ、大量の荷物を扱っている事業者(ほとんどがそうだと思いますが)にとって、すべての商品を自己配送に切り替えるというのも現実的ではありません。
現状早めに発注をかけて納品しておくといった対策くらいしか取れませんが、販売実績や季節的な需要も考えながらという難しい発注判断を迫られそうです。
マルチチャネルを使っている事業者は注意
使ったことがない方に簡単に説明すると、マルチチャネルとはFBA倉庫に納品した商品をAmazonユーザー以外へ配送してくれるサービスです。
例えば楽天市場やYahoo!ショッピングなどで売れてもAmazonFBAから各エンドユーザーに出荷されます。
Amazonを自社の物流倉庫のように使えるサービスですね。
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピング、自社ECサイトとあらゆる場所で商品を販売している事業者にとって非常にありがたいサービスです。
梱包や配送の手間が省けるだけでなく、配送料も安く売り上げに大きく貢献してくれているこのマルチチャネルサービスが急に停止したら、利用者はパニックになります。
例えば楽天市場で自分の商品が売れても在庫はFBAの中にあるため、Amazonが発送してくれないとお客様にお届けできないわけです。
マルチチャネルサービスが使えなくなることも想定しておこう
こういったマルチチャネルサービスが停止する事を想定して、日ごろから対策は考えておきましょう。
例えばAmazonのFBA倉庫から商品を自宅に返送してもらってから自己配送する。
基本的にAmazonFBAに送った商品も自宅や自分の事務所に返送してもらうことは可能です。
もちろん返送された商品を再度お客様に送るという面倒な手間が発生しますし、料金も時間もかかってしまいますが「売れない」「送れない」よりははるかにましです。
もしこの方法で対応するしかないと場合、配送スピードも料金も変わりますので、各モールの設定や料金は必ず見直しておきましょう。
自己配送は色々と面倒ですし、売り上げも下がります。
ですが、努力することで少しでも売り上げを維持できる可能性があるなら迷うことではありません。
なお、稀にですが自宅への返送の場合、Amazonからお客様への配送と違って「発送準備中」のステータスのまま放置されることがあります。
できる限りこまめに確認して、返送が遅い商品に関してはテクニカルサポートに連絡を入れて催促するようにしましょう。
売るための努力は怠らないことが重要
マルチチャネルが使えなくなると経営には大きな痛手ですが、すぐに売り上げが0になるわけでもありませんし、いくらでもやりようはあります。
重要なのは有事の際にも慌てず、すぐに代替案を考えて実行できる「発想力」「柔軟性」「フットワーク」です。
今回話した内容はあくまでも予測であって、本当にマルチチャネルが停止するかどうかなんて筆者を含め誰にも分かりません。
停止するかもしれないですし、停止しないかもしれません。
ですが、ビジネスにおいて「停止しないだろう」という根拠のない楽観視が一番危険です。
マルチチャネルに限らず不測の事態というものはビジネスをやっている以上必ず起きます。
「そんなことは起きないだろう」という楽観視や、有事の際に「そんなことは不可能だ」と思考停止してしまうのだけは絶対にNGです。
その時までに準備や心構えをしておけるか、そして起きたときにどれだけ冷静に対処して売り上げの減少を最小限にできるかがビジネス継続の分かれ道です。
普段から様々な状況をシミュレートしておきましょう。
普段からあらゆる状況を想定しておくことで、何かのサービスが停止してもすぐに代替案を実行し、売り上げを落とさないよう行動できるはずです。
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