「弁護士との顧問契約」に行くという大きな決断
今年に入って一つの大きな決断をしました。それは「弁護士との顧問契約」を行ったことです。
つまり筆者の会社に顧問弁護士を付けました。
中国輸入ビジネスをやっている方で、顧問弁護士まで付けている方はそう多くないと思います。
そもそも考えたことも無いという方も多いでしょう。
ですが、例え小規模事業であろうと、法律のプロが付いていることで仕事がスムーズになる、もしくは不安が解消されるケースは多々あります。
「顧問弁護士を付ける」と言うと非常に大きな話のように聞こえますが、おそらく皆さんが考えているよりも簡単で、小規模なら費用もそこまで高くありません。
ビジネスをやっている以上、誰にでも訪れる「法律の問題・壁」。
この壁にぶち当たってビジネスが立ち行かなくなるなんてことが無いように、依頼するしないはともかく、弁護士という存在については知っておきましょう。
今回はそんな弁護士との顧問契約の話です。
なぜ顧問弁護士を依頼しようと思ったのか
筆者が顧問弁護士をつけようと思った一番大きな理由は、依然行ったクラウドファンディングで非常に多くの方から支援を頂いたことでした。
たくさんの支援自体は非常にありがたく、良いことなのですが、「先々」や「もしも」を考えたときに以下の2点が気になりました。
1.中国の工場が倒産して支援者にリターンが返せない場合はどうするのか
2.リターンした商品で支援者がけがをした場合の損害賠償請求対応はどうするのか
1.中国の工場が倒産して支援者にリターンが返せない場合はどうするのか
クラウドファンディングの特性上、先に代金を頂いてから製品を生産し、その後支援者に完成した製品をリターンとしてお渡しするという流れになります。
ですがもし、生産前や途中で中国の工場が倒産してしまった場合を考えると、その後の対応に自信がありませんでした。
工場が倒産してしまい、お金を払った支援者に製品を届けることができなくなった場合、クレームや損害賠償請求を受けるのは間違いありません。
クラウドファンディングで支援して頂いた金額は非常に大きな額ですし、自分の力だけで対処するのには大きな不安がありました。
もちろん今回使ったクラウドファンディングサイト(Makuake)には、そうなってしまった場合の規約もあります。
ですが、筆者の経験上プラットフォーム側はトラブルに対して杓子定規であまりしっかりと対応してくれないことが多いです。
少なくとも信頼しきることはできないため、有事の際は自分の身は自分で守るしかないのです。
2.リターンした商品で支援者がけがをした場合の損害賠償請求対応はどうするのか
もう一つの不安が、リターン製品を渡した後のトラブルです。
今回クラウドファンディングで支援を募ったのはアウトドア用で、火を使う製品です。
もちろん安全を最優先に考えて企画し、注意喚起も万全に行いますが、火を使う製品である以上「絶対」「100%」「確実」はありません。
支援者がリターン品で想定外の使用をし、それでケガや火傷をした場合こちらに矛先が向く可能性は高いです。
返品・交換で済むのであればまだいいのですが、もし大きなけがで賠償や補償といったお金の問題にまで発展した時に、素人の筆者がスムーズに解決するのは難しいでしょう。
今までAmazonで同じような状況は何度もあり、そのたびに切り抜けてはきました。
ですが、今回は金額や規模が大きく、またやはりこうした時に相談できて迅速に解決へ導いてくれる「法律のプロ」がいれば非常に心強いと考えました。
以上の2点が、筆者が顧問弁護士を付けようと考えた理由です。
こうして筆者は顧問弁護士を付けることにしたのですが、やはり一番不安だったのは「料金」です。
今回顧問弁護士と契約する前までは何となく
「弁護士費用は非常に高額で、契約するだけでも月々5万円以上かかるだろうし、何か依頼した際はさらに追加で何万も払うんだろうな…」
と、このようなイメージを持っていました。
そのため今までは顧問弁護士をつける、という選択肢すらなかったのです。
ところが実際に調べてみると、筆者が想像していたよりもずっとリーズナブルであることが分かりました。
顧問弁護士の料金は、会社の規模や従業員数、どこまでフォローしてもらうかで料金は変わります。
そのため、筆者のように個人の小さい会社であれば、その規模に合ったプランや料金体系があり、安い所では月々1万円程度から契約可能でした。
月々1万円程度であれば、小規模な会社や個人事業主でも十分許容範囲ではないでしょうか。
もちろん問題が起きて作業を依頼すれば別途費用がかかりますが、逆を言えば何か問題が起きない限りは月額1万円でいつでも弁護士に相談ができる体制が整うわけです。
このような良心的な価格の弁護士はいくつもありましたが、筆者はその中から「ビジネスのトラブルだけではなく、個人的な法律相談や従業員の相談にも乗ります」と明言している弁護士さんを選びました。
現時点で会社は筆者一人ですので、筆者のプライベートで何か問題が起これば会社の業績に直接影響します。
そのため、「個人的な法律相談にも乗ってもらえる=会社を守る」事にも繋がります。
しかもこの弁護士さんはWEB知識にも比較的明るく、面談や契約もすべてオンラインで完結。
筆者の仕事とWEBは切っても切り離せません。
何かあった時に「ネット販売ってなに?」なんて聞いてくるような弁護士さんでは話になりません。
価格と相談範囲と知識。
全てに納得できたため、この弁護士さんと顧問契約を結びました。
弁護士と契約後、さっそく依頼する機会が
無事契約を結んだところで、筆者はさっそく弁護士さんに活躍してもらうことにしました。
以前、筆者はこのコラムでとある問題を取り上げました。
⇒リンク
概要を説明すると、筆者のオリジナル商品を有名なユーチューバーさんに紹介していただいたのですが、商品の知名度が上がったせいでその商品が楽天やヤフーショッピングで無在庫転売されるという事態が起きてしまいました。
無在庫転売とは、筆者の画像や説明文を無断転載し、在庫を持たずに筆者が売っている価格の何倍もの価格で販売を行ういわゆる「悪い転売」の一種です。
楽天やヤフーで筆者の販売価格よりも高く設定して出品だけしておき、もし商品が売れたらAmazonで販売している筆者から仕入れて購入者に届ける仕組みです。
無在庫転売による実害は色々とあるのですが、まず何よりも筆者が頑張って撮った写真や頑張って書いた説明文を丸パクリして、労せず儲けようとしているのが腹立たしいです。
ただ、「腹立たしい」という理由で、同じ土俵でけんかしてもそれこそ筆者に損はあっても得は何一つありません。
そこで、勝手に楽天やヤフーで売っている無在庫転売屋に対し、「筆者の代わりに筆者の商品が楽天やヤフーで売れるかどうかテストしてくれている」とポジティブに考えて様子を見ることにしました。
もちろん将来的に筆者が楽天やヤフーに出品するときは、この無在庫転売屋たちは何とかしなくてはいけません。
と、このような内容の記事でした。
こうした問題を長年抱えていたのです。
そしていよいよ筆者の商品を楽天やヤフーに出品するタイミングになり、また顧問弁護士をつけたことで、著作権を侵害している楽天やヤフーの無在庫転売屋たちを一掃する手はずは整いました。
ただ、ここで筆者にある考えが浮かび、楽天やヤフーに出品してもすぐに無在庫転売屋を一掃せず、しばらく放置することにしました。
というのも、無在庫転売屋たちは、筆者から仕入れて購入者に商品を届けなくてはいけないため、商品の価格設定を筆者が販売している価格の1.5倍~2倍に設定しています。
放置したままでも、筆者が楽天やヤフーに正規の価格で出品すれば絶対に負ける要素はありません。
さらに1.5倍以上で販売している出品者が複数いれば、筆者のストアは安く売っているように見えるため、必然的に「格安優良店」に見える効果もあります。
無在庫転売屋を一掃しなくても、筆者が正規の価格で楽天やヤフーに出店するだけで無在庫転売屋の商品は売れなくなりますし、上記のいわゆる「宣伝効果」もあるのではないか。
となると、すぐに一掃せずにしばらく放置して、様子を見ながら排除していくのがいいのではないかと思ったのです。
そこで筆者は楽天・ヤフーへの出店計画を以下のように計画。
1.まず自社の商品を出品
2.商品が売れることがわかったら無在庫転売屋に警告文を送って商品を取り下げさせる
3.無在庫転売屋を排除し、楽天とヤフーで独占販売を行う
文字にすると筆者があくどいことをしているように見えますが、そもそも商品は筆者のオリジナル商品で筆者しか販売できない物です。
不当に利益を得ているセラーを追い出し、自社の商品の販売環境を整えるのは当然の権利です。
筆者のこの計画ですが、結果から言えば普通に売れていきました。
そもそも特徴的で他の商品にはない差別化もされていたため、無在庫転売屋を利用して宣伝しなくても普通に売れる商品だったようです。
普通に売れることが分かった以上、宣伝や比較のために放置していた無在庫転売屋を放置しておく理由がなくなりました。
顧問弁護士に確認して無在庫転売屋に「警告文」を送付
弁護士と契約した理由の一つがこの「警告文」です。
警告文自体はネットでテンプレートがありますし、自分で送ることもできるのですが、効果のほどは疑問です。
無在庫転売をしている方々は、元々無在庫転売が違法だと分かっていて、それでも実践するような出品者です。
筆者個人の名前で、ネットの拾った警告文なんて送っても、「はいはい」と鼻で笑われて無視されるのがオチでしょう。
ですが、もしこれが「弁護士の名前で届いた物々しい警告文」だったらどうでしょうか。
言い方は悪いですが、「この警告を無視したら大変なことになる」と思わせる十分な脅しになるはずです
早速筆者は弁護士さんに「相手に危機感を与える書き方とポイント」を確認してもらい、その警告文を各無在庫転売屋に送りました。
結果、2日以内に全ての無在庫転売商品が削除されました。
一部何も考えていない方とか、異常に肝の据わった出品者が削除に応じないのではないかという心配をしていましたが、すべて杞憂に終わりました。
警告文を送ってわずか数日で無在庫転売は一掃され、筆者の商品は無事楽天とヤフーで独占販売できる状態になったのです。
最初から最後まで筆者が思い描いていた通りに事が運んだわけですが、この時筆者には一つだけ懸念がありました。
元々筆者しか扱っていない商品ですが、無在庫転売商品がたくさん出品されていることである意味筆者の商品の宣伝というか「賑やかし」になっていた部分はあると思います。
無在庫転売商品のページとはいえ、商品ページが多ければ多いほど商品がユーザーの目に留まる機会も多くなります。
中には無在庫転売商品のページで商品を見て「欲しい」と思った方が、「安い順」でソートして筆者のページから商品を買ってくれているケースもあったかもしれません。
そういう意味では、無在庫転売屋も筆者の売上に貢献していた部分があったのではないかという懸念です。
無在庫転売屋を一掃したことで、商品の知名度や露出が減り、売上が下がる可能性を危惧していました。
もしそうなると、無在庫転売屋を一掃したことが裏目になってしまいます。
ところがこの懸念も杞憂に終わりました。
売上も特に落ち込むこともなく、今もコンスタントに売れています。
こうして顧問弁護士との初タッグは万事うまく事が運び、綺麗に幕を閉じました。
ビジネスをやっている以上、今後もこうした法律に関する問題は起きるでしょう。
いまこれを読んでいる方、ビジネスをやっている方もいつこうしたトラブルに直面するかわかりません。
ある程度扱う金額が大きくなってきたら、ぜひ顧問弁護士と契約することをおすすめします。
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