中国輸入において非常に重要な春節と春節時期の在庫調整のお話
副業ブームや副業解禁の影響で、今年から中国輸入を始めた方も多いのではないでしょうか。
さて、そんな中国輸入初心者の皆さんに向けて、今回は大事なお話をしたいと思います。
それは「在庫」と「春節」のお話です。
春節とその時期の在庫調整はAmazon中国輸入販売をする上で非常に重要なポイントになってきますので、ぜひ最後までお読みください。
春節とこの時期の在庫調整について
中国輸入をしている方なら春節自体はご存じだと思いますが、まだ春節を乗り切った経験がない方にとって春節がビジネスにどうかかわってくるのはイメージにしくいと思います。
詳しくない方に簡単に説明すると、春節はいわゆる中国のお正月休みで、日本の正月休みよりはるかに大規模な国民的な長期連休となります。
春節の時期は年によって違いますが、2021年は2/11~2/17でした。
春節になると工場などはほとんどストップし、春節中はもちろん、その前後もほぼ機能が止まると考えてください。
特に春節後は止まっていた期間に溜まった仕事を処理しなくてはいけないので、工場の機能が平常時に戻るのに1カ月近くかかることもあります。
そんな春節の時期、中国輸入ビジネスをしている方にとって重要になってくるのが「在庫」です。
春節中やそのあとしばらくは発注ができず、輸入がほぼ完全に止まります。
例えば、もし春節中に商品の在庫が切れてしまった場合、春節の終わりまで1カ月近く商品の補充ができなくなり、大きな販売機会損失が発生します。
その期間売れないだけでも大ダメージですが、春節後に商品を補充してもそれまでの在庫切れでランキングが下がり、ライバルにカートやポジションを奪われる可能性もあります。
そうなると、その商品で以前のような利益を出すことは難しくなり、最悪その商品から撤退なんてこともあり得ます。
このように、春節の時期は普段以上に在庫に気を配らないといけません。
しかしそうはいっても、1カ月という長期間に対する在庫調整は非常に難しいものです。
熟練者でも毎年頭を悩ませる難易度の高い問題ですが、私の知る限りの対処法と知識をお伝えいたします。
事業にとって在庫とは何か
在庫を適正に保つためにはまず「在庫」について知らなくてはいけません。
「在庫って商品じゃないの?」と思うかもしれませんが、もう少し深い本質的な部分の話です。
そもそもなぜ商品の「在庫」を持つのでしょうか。
もちろん商品として販売できる状態にするためですが、その在庫も持っているだけでは何の価値もありません。
在庫というのは「持って」、そして「売って」初めて価値が出るものです。
売れずに残っている在庫は「不良在庫」と言うように、正しい在庫の姿ではありません。
一方で不良在庫を怖がって仕入れを抑えてしまうと、爆発的に商品が売れたときに在庫が切れてしまい、本来得られるはずだった売り上げを逃してしまいます。
このように、在庫というものは不足しても滞留してもダメです。
絶えず仕入れて、絶えず売って、そしてまた仕入れて…と常に商品を循環させなくてはいけません。
例えるなら在庫は事業内を循環する「血液」のようなものです。
血液も体内で不足したり滞留したら、健康を損なってしまい、最悪命にかかわることもあります。
同じように在庫も絶えず循環させないと、キャッシュフローを健全な状態に保てなくなり、事業の健康を害してしまうのです。
通常であれば在庫は中国から2~3週間で入ってくるため、在庫調整はそこまで難しくはないのですが、春節のような長期連休前は調整が非常に難しくなります。
読み違えると在庫不足や、逆に在庫過多になってトラブルを引き起こします。
春節前であっても、通常時と同じように在庫が絶えず循環している状態、「適正在庫」を保たなくてはいけません。
この適正在庫を知ることができれば、売り上げを逃したり、在庫を抱えて苦しい思いをすることもなく売り上げを保てるでしょう。
適正在庫を算出する方法
とはいえ、適正在庫の算出は非常に難しく、ほとんどの人が「勘」や「経験」に基づいて設定しています。
もちろん経験豊富な方はその方法でも間違いではありませんが、それでは初心者には実践できませんし、また大きな計算ミスやズレも起こりやすいですよね。
適正在庫を算出する場合、ある程度はきちんとした根拠を持って計算し、設定するべきです。
ただその一方で、寸分の狂いもなく細かく計算するのも大変ですし、中国輸入においてすべての事柄を読み切って計算するもの不可能です。
なので、大きな計算ミスが起こりにくく、なおかつ負担も少ない「ほどほど」に計算するのがおすすめです。
ではその計算方法ですが、冒頭でも話したとおり春節の時は大体1カ月くらい発注が止まります。
・商品の発注ができない1カ月
・通常のリードタイム2~3週間
・その他納品作業や猶予を見て約1週間程度
以上の要素から計算すると、春節における適正在庫の設定は「春節前の時点で約2か月分」と考えられます。
この「春節前の時点で約2か月分の在庫」があれば、春節中でも在庫切れは起きにくいはずです。
もちろん何かの拍子で春節中に在庫商品が爆発的に売れてしまうこともありますが、それは春節中でなくても起きる事なので諦めましょう。
春節が近づいてきたら過去2カ月間の販売データを遡り、各商品の発注数を決めるわけですが、すべての商品に対して2か月分の在庫を発注すればよい、というわけではありません。
1.季節商品
2.繁忙期
3.2.8の法則
毎年春節の時期には、セラーを悩ませる上記3つの変動要素があるからです。
季節商品
春節前の1月あたりから2ヵ月の販売データを遡った時、参考にするデータは11月・12月になります。
このあたりによく売れていた冬物は、1月以降急激に売れ行きが悪くなりますので、単純に2か月分発注すると最悪来年の冬まで売れ残ってしまいます。
季節商品(春節前であれば冬物)はセオリー通りの2か月分仕入れるのではなく、最初から「売り切りの時期・量」を決めて発注しましょう。
売り切れる前提でやや少なめの発注数を設定します。
読み違えると早めに在庫が切れてしまいますが、春先まで在庫を残すよりはるかにましです。
繁忙期
季節商品以外でも、11月から年末年始にかけては物販にとっての繁忙期で、比較的よく売れます。
なので、この期間の販売データをそのまま2倍にして、春節前に「2か月分」として発注してしまうと、「2.5か月分」とか「3カ月分」近い在庫を抱えることになります。
商品ジャンルにもよりますが、「11月と12月の販売データから少し差し引いて計算する」ようにしましょう。
2.8の法則
2.8の法則とは、物販において「2月と8月は売り上げが下がりやすい」という意味です。
春節前の発注分は当然2月、3月に売ることを想定したもので、つまり売り上げが落ちやすい2月を必ず含みます。
先ほどの繁忙期同様、単純に「2か月分」と考えると「2.5か月分」くらいのボリュームになってしまう可能性があります。
簡単にまとめると、以下のようになります。
・春節前は基本2か月分の在庫を持つようにする
・冬物は売れなくなってくるので2か月分仕入れない
・売り上げの大きい11月や12月のデータはそのまま当てはめない
・2月は売り上げが落ちるのでその分を加味する
このような感じで調整していきましょう。
全体的に在庫量を少なめに調整する感じですね。
こんな感じで、ある程度根拠となる数字からざっくり計算することで、それなりに正確で、それでいて計算もそれほどシビアにしなくていい負担の少ない計算が可能です。
Amazonセラーにとってもう一つ問題がある
面倒な発注量も決まったし、さあ春節に向けて2か月分をいざ発注、と行きたいところですがもうちょっと待ってください。
実はもう一つ、Amazonセラーには「納品制限」という問題があるんです。
Amazonの納品制限について
Amazonでは最近「納品制限」という厄介な基準ができました。
在庫パフォーマンス指標が低いセラーや、新規商品ページの商品はFBAへの納品数が制限されるという仕組みです。
普段から健全な販売状況を維持していて、在庫パフォーマンスを高く保っていればたくさん納品できます。
それでも一番制限の緩い500以上のパフォーマンス指標を獲得するのは、ベテランでも簡単ではありません。
そのため、基本的にAmazonでは多くの人に何らかの納品制限があると思っていいでしょう。
この納品制限のせいで、春節前に2か月分の発注をかけてもAmazonにすべて納品できない、という問題が起こります。
これが具体的にどう影響するかというと、例えば商品Aを納品したがあまり売れず、次に売れ筋の商品Bを納品しようと思ったら制限で納品できなかった…といった状況が起こります。
すると、せっかく売れ筋の商品Bを発注して在庫を持っているにもかかわらず、FBAに納品できず売りにくくなってしまいます。
ちなみに納品制限は「大型」と「標準」でそれぞれカウントされますので、標準は制限で納品できなくても大型は納品OK、ということはあります。
納品制限の対処法
普段であれば、セラーの規模に合った納品制限の範囲内で商品を循環させているはずなので、制限をそれほど気にしていないかもしれません。
ですが、春節などいつもより多く在庫を積み上げたいときに、この納品制限を把握していないと先ほどのような思わぬ事故が起きるかもしれません。
もし先ほどのような「売れない商品が先にFBAにあるせいで、売れ筋の商品が納品できない」という状態になったらとにかく在庫を減らすしかありません。
要は「渋滞になっていて後続の商品が先に進めない状態」になっているので、先の商品をどんどん減らしてあげればいいのです。
・FBA在庫の商品を値下げする
・FBA在庫の一部を自宅に返送する
主にこの2つの方法で、FBAにある在庫を減らして次の納品ができる状態にします。
ただそもそもの話、最初から「売れ行きの鈍い商品」と「売れ筋の商品」をきちんと把握して、売れ筋の商品から納品していけば納品制限に悩まされる事故は防げます。
売れ筋の商品を先に在庫切れにならない数量を納品し、そのあと順次売れ行きの怪しい商品を納品していく、という順番です。
売れ筋の商品が正しく販売されて循環していれば、売れ行きの悪い商品が売れなくても問題ありませんし、万が一売れても次々納品できます。
先ほど「商品は血液」「血液の循環が大事」だと話しましたが、売れ筋商品は血液で言えば重要な血管、「大動脈を通る血液」です。
ここが在庫切れで滞留することは絶対にあってはいけません。
逆に大動脈さえ健康的に循環していれば、小さい血管が多少滞留したり、足りなくなっても大きな病気にはならないでしょう。
例え話で多少話が抽象的になりましたが、要は「在庫切れさせてはいけない商品」と「売れなくても影響が少ない商品」を区分けしてFBA納品の優先度を決める、と言うことが大事です。
イレギュラー時に「100点満点」はあり得ない
今回、春節時の在庫調整について解説しました。
春節はいわば1年に1回の「イレギュラー対応」です。(もちろんほかにも長期休暇はありますが…)
そもそも1カ月発注ができないという状況は物販としては異常で、そんな異常事態の対処で「100点満点」はあり得ません。
異常事態の中で、さらに想定外の事も起きますし、そんな中で完ぺきな計算や設定なんてできるわけがないのです。
ベテランですら春節時の流れを100%確実に読み切れる人はいないでしょうし、初心者や初めて春節を迎える人はなおさらです。
そんな中で「完璧」にこだわると、より大きなミスにつながったり、中国輸入を続けていく上での自信を失ってしまうかもしれません。
春節対応で一番重要なのは「大きな失敗をしない」事であり、「多少の失敗や想定外は起きるもの」と思っておくことです。
中国輸入では春節の他にも国慶節といった長期休みもありますが、その時も同様です。
都度、事業が傾かない程度の失敗を経験し、そのノウハウを蓄積していくことで、次回以降徐々に失敗や計算ミスの幅が小さくなっていくはずです。
「正しい失敗とフィードバック」を数回繰り返せば、いつの間にか長期休みでもある程度適正在庫を適正な順番でFBAに納品できるようになっているでしょう。
繰り返しになりますが、とにかく「事業が傾くほどの大きな失敗をしない」。
例え損をしたとしても、事業さえ継続できれば、それが経験となりやがて大きく利益を出せるチャンスも見えてくるはずです。
また事業を継続し続けることで、色々な対処法も分かってきます。
例えば今回は割愛しましたが、納品制限で在庫を納品できない時に代わりに商品を保管して、必要な時にFBAに納品してくれるサービスなどもあります。
この記事や他の記事も参考にして色々な手法や考え方を蓄積していって下さい。
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