オリジナル商品を相乗りから守り販売のレベルを引き上げる「Transparency」
中国から商品を輸入し、時間をかけて写真を撮影して商品ページを作製して、さらに費用をかけて広告を出してようやく商品が売れ始めたな…というタイミングになると必ず「ある問題」が起こります。
その問題とは、売れている中国輸入商品は他のセラーに「相乗り出品」されて供給過多となり、商品の価格が崩壊してしまう問題です。
中国輸入初心者セラーにとっては他人の褌で簡単に稼げる親切なシステムですが、商品ページ作成し、コツコツ商品を育てているセラーからするとたまったものではありません。
筆者も過去何度もこの相乗り出品にやられました。
自分が苦労して作り、育ててきた商品ページです。
出来ればずっと独占販売したいと思うのは当然でしょう。
もちろんAmazonもこの問題を放置しているわけではなく、いくつかの対策を打ち出しています。
例えば「商標」です。
現在Amazonで中国輸入商品の相乗りセラーを排除するための仕組みとして、この商標が必須となっています。
商標登録してあれば、万が一自分の商品ページに相乗り出品者が現れてもAmazonに「商標権の侵害」を申請することでAmazon側が相乗り出品者を排除してくれます。
この仕組みのおかげで相乗り出品されるケースはかなり減りましたが、それでも商標登録しただけでは万全とは言えません。
商標では、相乗り出品自体はできてしまい、それを相乗りされたセラーが見つけて報告する仕組みの為、どうしても対応が後手に回ってしまいます。
そこで登場したのが今回のテーマである「Transparency(トランスペアレンシー)」です。
Transparencyは、商品バーコードとは別のシリアル番号をつけ、正規品であることを確認してから配送する仕組みです。
元々は有名ブランドの模倣品(コピ―商品)を排除するために作られた仕組みで、現在約2万3000以上のブランドが登録されています。
そしてこのTransparencyのおかげで、2021年は7億5000万点以上のコピー商品から正規品を守ったそうです。
今回はこのTransparencyにフォーカスし、解説します。
中国輸入ビジネスを育てていけばいずれ必ず必要になる仕組みなので、ぜひ目を通しておいてください。
商標とAmazon相乗りの仕組みの問題点
商標とは、簡単に言えば「商品やサービスの特徴となるネーミング・ロゴマーク」です。
細かい話をすると「造形やデザイン」も商標とみなされるケースがありますが、話がややこしくなるため今回はざっくり「商標=ネーミングやロゴマーク」と覚えてください。
上記の通り、商標はサービスのネーミングやロゴも含まれますがAmazonで売っているのはサービスではなく商品です。
そして商標は販売されている物すべての共通した権利を持っているわけではなく、カテゴリごとに商標を取得する必要があり、これを区分と言います。
例えば18類は旅行用品、21類は家庭用品、25類は被服・履物です。
例えば筆者が「UMEDA」というブランドで、18類旅行用バッグの商標を取得した場合、履物には適用されません。
つまり他の方が履物カテゴリーで、「UMEDA」のブランド名で商標登録が可能です。
ところが現在のAmazonでは、商品の内容と商標の区分については分けて考えられておらず、「とにかく商標を持っている権利者から侵害申請があれば相乗り出品者は排除される」状態になっています。
つまり「商標権利者から申請があったからとりあえず削除しました。不服があれば当事者間で話し合ってね」という一歩引いたスタンスです。
このスタンスがいつまで続くかわかりませんが、Amazonの商標の取り扱い次第では我々中国輸入セラーは大きな打撃を受ける可能性があります。
商標を最初に取得したセラーが、圧倒的に強い権利を所持することになるからです。
以前少しだけ権威侵害の申請時に商標内容をAmazonが精査していた時期がありました。
現在は無くなっていますが、もしこれが復活すると、区分以外の商標は効力を発揮できなくなります。
複雑な話ですが、要は「Amazonの商標に対する考え方・扱い方次第で大打撃を受けることがある」かもしれない、と覚えておいてください。
これはちょっと怖い話で、もっとカジュアルな良い方をすれば「Amazonの機嫌次第で中国輸入ビジネスが一瞬で壊滅する」かもしれないわけです。
これが現在の商標の問題点です。
もう一つの問題はAmazonの出品システムそのものです。
Amazonでは商標の有無に関わらず、同一商品を持っていれば出品が可能ですが、出品前にそれが本当に同じ商品かどうかのチェックはしません。
これを悪用すると、例えばAという商品を改良したBという商品があるとします。
当然改良されたBの方が売れますが、それを見ていたAのセラーがBの商品ページに相乗りする、といった悪用ができてしまいます。
当然相乗りしたセラーから購入した商品は改良前のAが届くわけで、こうなると低評価やクレームといった問題につながるかもしれません。
低評価を受けるとBの商品ページそのものの評価が落ちるわけで、最初からBを出品していたセラーは何の落ち度もないのに商品ページの評価を下げられてしまいます。
このように、商標の有無は出品時にはなんの強制力もありません。
セラーが常日頃から細かくチェックし、相乗りを発見できれば申請で排除できますが気が付くまでは野放しです。
また、監視に時間も手間もかかります。
商標の問題を解決するために生み出されたのがTransparency
商標の問題を解決するために生み出されたのがTransparency
上記のように、商標だけでは常に対策が後手に回ってしまい、模倣品を完全に排除できません。
その対策のために生まれたのが「Transparency」です。
冒頭でも説明しましたが、Transparencyは最初に商品のバーコードとは別にシリアル番号を付け、オリジナルの正規品であることを確認してから配送する仕組みです。
もう少し具体的な説明をすると、Transparencyの登録を行ったブランドホルダーは、自社の商品のみに貼れる唯一無二のオリジナルバーコードを発行できます。
Transparency登録された商品は、このオリジナルバーコードが無いと即ニセモノと判断されます。
出品はもちろん、FBAへの納品もできません。
このTransparencyにより、FBAでも自己発送でも自社のブランド以外の商品出品・納品・発送が不可能になりました。
Transparencyは元々有名ブランドの模倣品対策だったのですが、結果私たち中国輸入セラーにとっても非常に有効なものとなっています。
もちろん相乗り出品で稼いでいた中国輸入セラーにとっては厄介な仕組みです。
Transparencyのメリットをまとめると以下の通りです。
1.自社商品を模倣品(商品違いの相乗り含む)から守り独占販売が可能
2.誤ったレビューやクレームを受けるリスクを回避できる
3.他の出品者による粗悪商品が販売されなくなり、購入ユーザーに安心感を与えられる(ブランディング向上)
4.模倣品の疑いがあったデータを確認できる
他にもいろいろありますが、主なメリットはこの4つです。
こうしたメリットがあるため、現在ではAmazonに出品する世界中のブランドがこのサービスを利用しています。
Transparencyが導入される前は相乗りをブロックするために色々な対策を講じる必要がありました。
・付属品を増やしたり、セット組する
・オリジナル商品の企画・製作(OEM/ODM)
・商標取得
・相乗り出品の常時監視
これらの対策はとにかく手間も時間もお金もかかり、本当に大変です。
ですがTransparencyの導入で、今後上記のような様々な問題が一気に解決するのではないでしょうか。
自分でページを作成し、しっかりと自分の商品を作り込んで育てていくセラーにとって、Transparencyは欠かせないサービスになるでしょう。
Transparencyの補足
便利なTransparencyですが、残念ながら有料です。
登録料や月額料金ではなく、専用コードを発行する商品ごとに費用が発生します。
FBA販売手数料のような仕組みだと思ってもらえばいいでしょう。
そのため、商品を売れば売るほどTransparencyのコストは上がります。
ですがコードの発行費用はわずかで、Transparencyで安定して商品が売れれば利益も上がっていくはずなので、Transparencyのコストが負担になることはないでしょう。
さらにTransparencyは任意ですので、すべての商品に貼る必要がなく、必要だと判断した商品のみに適用すればOKです。
売れていない製品、対策が必要ない製品は今まで通りTransparencyなしで納品すればいいのです。
そのため出品開始直後はコードを発行せず、売れてきたらTransparencyコードを発行して商品を守ると良いでしょう。
なお、Transparencyの利用には「Amazonのブランド登録ができていること」と、「Transparencyに登録するASINは商品識別コード(JAN)が必要」です。
Amazonブランド登録:https://brandservices.amazon.co.jp/
Transparencyを利用しようと思った段階で事前に登録しておきましょう。
今後Transparencyの利用を考えている方は、まずはAmazonに問い合わせて費用の算出等をしてみてください。
専用フォーム:https://brandservices.amazon.co.jp/transparency/contactus
上記の専用フォームに、あなたのブランド情報を登録すれば担当部署から連絡が入ります。
担当のサポートを受けながらぜひTransparencyの設定を進めて行ってください。
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