正規品と並行輸入品について具体例を交えて解説!
海外ブランド品を購入するときや、海外ブランド製品の販売をしていると、「正規品」「並行輸入品」という単語を必ず耳にします。
あまり詳しくない方は「正規品」と「並行輸入品」という言葉から、並行輸入品の事を「正規の品ではない=偽物」というイメージを持っている方も少なくないようです。
ですが、それは間違いです。
詳しくは後述しますが、並行輸入品はあくまでも「輸入のルートが正規品と違うだけ」であり、決して偽物とは言い切れません。
「正規品」と「並行輸入品」ではいったい何が違うのでしょう。
今回はわかりそうでわからない「正規品と並行輸入品」について解説します。
正規品とは、海外ブランドの日本法人やブランド直営店、ブランドと正式な販売契約を結んだ正規販売代理店などのルートを通じて輸入された物の事を指します。
一方で、並行輸入品は上記のルート以外、ブランドの日本法人や直営店、国内の正規販売代理店を通さず輸入されたものを「並行輸入品」と言います。
例えば私たちがフランスパリにあるルイ・ヴィトン本店から直接商品を購入し、日本に持ち込んだ場合、この商品は間違いなく本物ですが正規品ではなく「並行輸入品」になります。
正規品は「日本のルイヴィトン直営店」、もしくは「ルイ・ヴィトン・ジャパン」が輸入したものを指すからです。
シンプルに言えば「そのブランドと正式ライセンス契約を結んでいない人や企業が購入し、国内に持ち込んだもの」をすべて「並行輸入品」と呼ぶのです。
並行輸入品のメリット・デメリット
直営店や正規代理店を通さず仕入れる並行輸入品には、多くのメリットとそしてデメリットがあります。
メリット・デメリットを理解することで、ブランド品購入の選択肢がより広がり、賢く買い物や仕入れをすることが可能です。
並行輸入品のメリット
並行輸入品の一番大きなメリットは「安く仕入れができる」ことです。
特にハイブランドの国内正規販売代理店では、ブランドイメージを守るために基本的に大きな値下げを行いません。
ですが、並行輸入品であれば現地本店や、現地の販売代理店で安く売られている製品を購入して輸入することで、国内よりも10~30%ほど安く買うことができます。
さらに海外での買い付けの場合、日本の正規販売代理店が扱っていない、いわゆる「海外限定モデル」なども手に入ります。
このように、並行輸入品は「安く買い付け・仕入れができる」「海外限定モデルが手に入る」という2つのメリットがあります。
並行輸入品のデメリット
並行輸入品には、一方でデメリットもあります。
まず大きなデメリットが「コピー品」、偽物を掴んでしまうリスクです。
例えば、海外ブランド品を現地の直営店で購入した場合、そのお店が「直営店を名乗った悪質な業者」だったという可能性もゼロではありません。
このような業者から購入した場合、販売している商品の中にコピー品が紛れている可能性が高く、そのまま気づかず購入し日本へ持ち帰ってしまうケースがあります。
「並行輸入品は偽物」という認識が広がってしまう原因の一つに、このような「並行輸入品の購入ルートでは偽物が混じる可能性がある」事から来ています。
また、ブランド工場の生産過程で検品から弾かれた廃棄予定商品を関係者が横流しして、そしてそれを別業者が安く仕入れ、「並行輸入品」として販売したケースもありました。
この場合、商品自体は本物のブランド品ですが、ブランドの検品を通っていないという意味で「正規品ではない」となります。
「本物だけど本物じゃない」というややこしい商品ですが、「本物か偽物か」で言えばブランドが出荷を認めていない以上「偽物」です。
他にも並行輸入品の「海外限定モデルが手に入る」という点を悪用し、デザインが違うなどの出来の悪いコピー品を「海外(現地)限定モデル」と称して販売している例もあります。
実際ブランドでそんな仕様・デザインの製品は生産していないのですが、よほど詳しくない限り「海外限定モデル」と言われれば、納得して買ってしまいますよね。
正規店で販売していない並行輸入品の中には、上記のような粗悪な製品が流通ルートに乗ってしまうことがあります。
こうした偽物や粗悪品を購入段階で私たちが気づくのは、よほど卓越した知識や鑑定眼を持っていない限り不可能です。
現在ではブランドの担当者ですら騙す「スーパーコピー品」も出回っているため、素人がコピー品を見破るのはほぼ不可能と言っていいでしょう。
このように並行輸入品は安価で買え、限定モデルが手に入る魅力と同時に、「コピー品が混じるリスクは避けられない」というデメリットがある事を覚えておきましょう。
どうしても偽物を掴みたくなければ、やはりブランド本店や正式な直営店、公式サイトなどで購入するのが確実です。(その代わり安く買うのは難しくなります)
もう一つのデメリットは例え本物であっても「正規のメンテナンスや保証を受けられない」可能性があることです。
海外から直接買ってきた並行輸入品の場合、例え本物であっても日本国内のブランドによる保証や修理の対象にならない、もしくは別途料金がかかるなど差がつくことがあります。
有名な所では調理器具メーカー「ル・クルーゼ」は、公式サイトで「並行輸入品と正規品では仕様が異なるため並行輸入品によるトラブルは対応しない」と明記しています。
厳密に言えば本物である以上、ブランド側が修理を受け付けないのは違法である可能性が高いのですが、並行輸入品の修理やメンテはブランド側から難色を示される可能性があります。
並行輸入品を買う、もしくはビジネスで仕入れる場合、「コピー品を掴むリスク」「ブランドによる保証対応に差が付くリスク」があることは覚えておきましょう。
ちなみに、正規品のメリット・デメリットは上記の並行輸入品の真逆、「確実に本物である」「保証やメンテナンスが確実に受けられる」となります。
並行輸入の余談1.ノーブランドの並行輸入品は存在しない
最後に並行輸入品にまつわる余談というか、豆知識について2つほど解説します。
まず一つ目ですが、Amazonやメルカリなどでたまにノーブランド品で「海外並行輸入品です」という不思議な文章を見かけますが、これは間違いです。
並行輸入品とは「海外現地の【ブランド品】を正規ルート以外で仕入れてきたケース」を指します。
この「ブランド品」という点がポイントで、「海外に法人等があり、国内に日本法人や代理店があるブランド物を正規ルート以外で国内に輸入する」から「並行輸入品」となります。
従ってノーブランド品は「並行輸入品」にはならないのです。
もし海外製の商品を販売する場合、この点を間違って記載しないよう注意しましょう。
並行輸入の余談2.真贋の鑑定ができるのは正規店のみ
もう一つの余談は「本物か偽物か鑑定できるのはブランドの正規店のみ」という点です。
ブランド品をネットやリサイクルショップで買った人が、一番不安に思う点は「これって本物?」という疑惑ではないでしょうか。
不安に思ってネットなどで検索すると、「コピー品の見分け方」「偽物の鑑定方法」「本物と偽物の違い」という情報はたくさんヒットします。
もちろんこれらの情報の中には正しいものもありますので、ある程度の判断材料にはなるでしょう。
ですが、中には間違った情報や古い情報もあり、これら雑多な情報を正しく取捨選択して真贋鑑定をするのは私たちではまず不可能です。
「じゃあリサイクルショップや買取店できちんと見てもらおう」と思うかもしれません。
ですが、「リサイクルショップで買ったから本物」「リサイクルショップで買取を断られたから偽物」という判断の仕方も正しくありません。
そもそもの大前提として「本物」「偽物」を判断したり、断定する権利は「ブランド側の人」にしかありません。
これは買取業者にも言えることで、買取スタッフは知識も経験も豊富で、ある程度品質の判断はつきますが、「本物か偽物か」を鑑定しているわけではありません。
買取側はあくまでも「本物か偽物か」ではなく、「自社で買い取れる物かどうか」という判断しています。
もちろん「本物である可能性が限りなく高い」というのが買取条件の大前提です。
ですが「本物であるかどうか」を決めたり判断したりする権限はなく、「おそらく本物の可能性が高いから買い取れる」という基準で買取の可否や買取価格を決めています。
従って、明らかな偽物は当然断りますが、間違って偽物を買い取ってしまうケースや、本物であっても判断が付かない物に関しては買取を断るケースもあります。
確実に本物か偽物か知りたい場合はリサイクルショップや買取店ではなく、正規店に持ち込んで鑑定してもらいましょう。(鑑定してもらえるかどうかはともかく)
最後に
今回は正規品と並行輸入品について解説しました。
正規品は「日本国内の直営店や正規代理店を通して購入したもの」。
並行輸入品は「現地で直接買い付けるなどして、国内のブランド法人や正規代理店を通さずに輸入したもの」です。
この違いを覚えておきましょう。
「正規品」と「並行輸入品」に対する正しい知識を持つことで、購入の選択肢が広がり、より賢く商品を購入できるようになります。
なお、以下のコラムでも正規品と並行輸入について解説しています。
今回のコラムと同じタイトルですが切り口が違うので、こちらもコラムも合わせて読むことでより深く並行輸入品について把握できるでしょう。
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