AmazonがPB(Amazonベーシック)から撤退!?
セラーにとってAmazonはマーケットプレイス、
ショッピングモール運営のイメージが強いですが、
Amazon自身も小売業者として販売を行っています。
基本的には他の小売業者同様に他社メーカー品を仕入れて販売をしていますが、
中にはAmazon自身が商品の企画や開発を行ったオリジナル商品、
いわゆるPB(プライベートブランド)もあります。
AmazonのPB商品は「Amazonベーシック」という名前で展開されており、
商品を見たことがある方も多いでしょう。
初期の頃は電池やLANケーブルといったごく一部の商品展開のみでしたが、
現在ではパソコン関連やバッグ、
文房具や日用品・日用雑貨と非常に多岐に渡って展開されています。
どの商品も中国輸入セラー真っ青の「高品質・低価格」が売りで、
中にはレビューが4万件を超える大ヒット商品もあります。
私もAmazonベーシックの商品をいくつか購入しましたが、どれも満足いく品質でした。
正直な話、中国輸入セラーとしては、
「Amazonベーシックと同品質の製品を同じ価格で提供するのは難しい」と感じました。
高品質で低価格なうえ、Amazon自らが売っていることもあり、信頼度は抜群。
販売実績が多いのも納得できます。
アメリカのAmazonではAmazonベーシックの商品を削減し始めている
このように、顧客の心をがっちりつかんでいるAmazonベーシックですが、
先日こんなニュースがありました。
https://president.jp/articles/-/59812
記事の内容を要約すると、「アメリカのAmazonでは、
売上不振を理由にPB商品の削減をしている。
また、今後PB商品の完全撤退も協議している」といったものです。
Amazonほどの大手になると、企業として成長を止めるわけにはいきません。
そのため、AmazonではPBなどの物販以外にも、
アマゾンウェブサービス(AWS)と呼ばれるクラウドサービスや物流事業等、
様々な事業を多岐に渡って次々と展開しています。
とはいえ、いくらAmazonといえども
すべての事業を順調に成長させられるわけではありません。
そうなると他の一般企業同様に赤字部門は閉鎖し、
黒字部門と新規事業に資金と人材を振り分ける
「選択と集中」をしなくてはいけない場面も出てきます。
今回の場合、それがPB部門の縮小・撤退だったということです。
私たちから見ると好調に見えているビジネスでも、
企業側・経営側から見るとそうではなかった、ということなのでしょう。
もちろんこのニュースはアメリカのAmazonの話で、
直ちに日本のAmazonも同様にPBの縮小や撤退を始めるわけではありません。
少なくとも、表立ってそういう流れになるといったニュースは届いていません。
この違いに関しては、現地法人ごとの方針もあると思いますが、
大きな理由としてはアメリカと日本のAmazonでは
顧客のイメージやPB商品の売れ行きも全く違うからでしょう。
アメリカのユーザーと日本のユーザーでは、
消費者心理・購買意欲・購買傾向すべてが異なります。
アメリカと日本だけではなく、
世界各国でAmazonに対するイメージやAmazon商品の売れ行きは全く異なるでしょう。
つまりアメリカのAmazonがPBを縮小させたからと言って、
日本のAmazonが同じ流れに追従するわけではないのです。
とはいえ、アメリカAmazonの決定が
日本Amazonに全く影響を及ぼさないかと言えばそうではありません。
そのため、アメリカAmazonが「PBを撤退する」となった場合、
「日本AmazonがPB商品から撤退したらどういう影響があるか」は
多少なりとも考えておく必要があります。
もし日本のAmazonがPB商品を撤退させたら…
日本のAmazonがPB商品から撤退した場合、
我々中国輸入セラーにはどんな影響があるでしょうか。
Amazonベーシックの商品数やレビュー数を見る限り、
Amazonベーシック商品全体で膨大な売上があることは容易に想像がつきます。
そんなPBをいきなり撤退させてしまうと、
これまでAmazonベーシックを購入していた大勢のユーザーは購入先に迷います。
そうなると購入先がなくなったユーザーが、
同品質同価格帯の商品を求めて楽天市場やヤフーショッピングといった
他のモールに流出してしまうかもしれません。
もしそうなった場合、Amazonにとっては膨大な機会損失になるため、
現時点でAmazonは何も考えずにPBから撤退するという失策をするはずがありません。
現在、新規顧客の獲得と既存顧客の囲い込みはショッピングモールの最大の課題です。
せっかくAmazonベーシックで獲得したユーザーを、
Amazonがみすみす流出させるわけがありません。
Amazonベーシックが赤字部門になって撤退を決めたとしても、
今まで囲い込んでた既存顧客が流出してしまったら元も子もないからです。
そう考えるとAmazonがAmazonベーシックの撤退を決めても、
必ずそれに代わる何らかの施策を打つでしょう。
その施策の一つとして考えられるのが、
我々中国輸入セラーが取り扱っている「オリジナル商品の拡大」です。
低価格で商品を販売している我々中国輸入セラーの後押しをすることで、
Amazonベーシック撤退で購入先に迷った
ユーザーの引き留めを行うのではないでしょうか。
要は、自分たちがやってきたAmazonベーシックを
マーケットプレイスの商品に置き換えようというわけです。
Amazonベーシック撤退によるユーザーの流出を抑え、
膨大なコストをかけずに実現できる一番現実的な手段ではないでしょうか。
大手メーカーの商品を後押しして売上を伸ばす方法も考えられますが、
大手メーカーの商品は「高品質で価格もそこそこ」の物が多く、
Amazonベーシックのような「低価格」の実現が難しいです。
いままで「高品質で低価格」のAmazonベーシックを購入していたユーザーが、
「高品質で価格もそこそこ」の商品で満足するとは思えません。
あくまでも私の推測ですが、
Amazonベーシックを購入するユーザーは「品質7:価格3」ではなく
「品質4:価格6」くらいの「コスパ」を重視しているはずです。
となるとやはり大手メーカーの製品では、
Amazonベーシックユーザーのニーズを満たすことはできません。
そう考えると、やはり低価格を実現していて、
小回りの利く我々中国輸入セラーに焦点が当たるのではないでしょうか。
流出を防ぐために、何らかの方法で
我々の商品を強力にプッシュしてくれるかもしれません。
もし本当にそうなれば、
今までAmazonベーシックを購入していた膨大なユーザーがこちらに流れてくるため、
我々にとっては大チャンスですね。
AmazonがPBをやめる兆候が出た際にはその情報をいち早くつかみ、
現在のAmazonベーシックで売れている商品群を調査し、
同じような商品を出品できれば一気に多くの顧客を取り込めます。
ただ、気を付けたいのが
「Amazonベーシックを買っていた顧客は価格の安さだけでは買わない」
という点です。
先述しましたが、Amazonベーシックの商品を購入するユーザーは「品質4:価格6」、
つまり「高品質で安い商品・コスパの良い商品」を求めています。
決して「安かろう悪かろう」を求めているわけではありません。
Amazonベーシックの顧客が流れてきても、低品質な商品しか取り扱っていなければ、
一時的な売上は上がっても、長期的な売上にはつながりません。
そんな焼き畑農業的な販売をしていると、必ず顧客、
そしてAmazonからそっぽを向かれてしまうでしょう。
Amazonベーシックに取って代わるなら
「Amazonベーシック並みの高品質・低価格商品」の実現はマストです。
もちろんそれはAmazonベーシックの顧客流出があろうとなかろうと、
商品を販売する以上、常に目指さなければいけない事です。
AmazonのPB撤退が現実のものになる・ならないに関わらず、
「高品質低価格」の実現を目指し、今から取り組んでおかなくてはいけません。
商品作り、商品の作り込みは一朝一夕ではできません。
私も現在いくつかの商品を開発中ですが、
中には着手から2年経っても実現できていない商品があります。
もちろんそれだけ品質と価格にこだわった、オリジナル性の高い商品です。
この例はちょっと極端ですが、
商品づくりにはこれだけの時間や労力がかかるという一例です。
それでもこうした商品づくり・品質の作り込みを日々コツコツと進めておくことで、
少しずつ「高品質・低価格・独自性の高い商品」が実現できるでしょう。
質の高い製品を取り扱っていれば日々の売上も伸びますし、
もし今後、Amazonベーシックが撤退するような大きな動き、
ビジネスチャンスが来た時にうまく波に乗って
大きな売上と利益を獲得できるはずです。
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