中国輸入ビジネスで一定以上の利益が出た場合、確定申告を行わなければいけません。
・個人事業主であれば年間48万円以上の利益
・会社員の副業であれば年間20万円以上の利益
※この数字以下でも確定申告したほうが良いケースもあります。
※「売上(商品を売った金額)」ではなく「利益(売上から経費等を差し引いたお金)」である点に注意
この確定申告ですが、これからビジネスを始める方や、1年目の事業主、副業を始めたばかりの人にとっては「聞いたことはあるけどよくわからない」ものではないでしょうか。
今回はそんな難しい、ですが避けては通れない確定申告のお話です。
やり方ではなく、基本的な概要を中心にお話ししますので、まずはこのコラムで「確定申告ってこういうものなんだ」という点をざっくりと理解してください。
中国輸入ビジネスで確定申告は絶対必要?
中国輸入ビジネスに限らず、事業で利益が出たらその利益を国に報告して、その利益に対して決められた額の税金を納めなくてはいけません。
「前年度〇〇円儲かったから、その分の税金を計算し自己申告して国に納めます」というのが確定申告です。
集計期間は、事業主の場合1月1日~12月31日で、この間に得た利益やかかった経費などを書類やデータにまとめ、翌年の2~3月に税務署に提出します。
事業で利益が出ていれば、その利益(所得)に応じて決められた割合の税金(所得税)を納めることになります。
参考:国税庁HP
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2013/taxanswer/shotoku/2260.htm
日本は「累進課税」という課税方式になっていて、所得(利益)が大きければ大きいほど、より高い割合で税金が課される仕組みになっています。
副業で年間195万円以下の利益ならそのうちの5%が税金となりますが、もし大儲けして利益が900万円~1800万円以上になると、利益の40%を税金として納める必要があります。
いずれにしても国に税金を納めるという行為が、ちょっと悪い言い方をすれば「国にお金を取られる」ように感じる人もいます。
確定申告は自己申告制なので、個人事業主や副業レベルなら申告せずにスルーすることもできなくはないため、申告をせずに事業を続けている方も0ではありません。
もちろん必要があるのに確定申告をしない行為は違法で、いわゆる「脱税(無申告とも言います)」にあたり、税務署の調査対象となります。
ネット上でも「確定申告 バレる バレない」と検索している方も多いようですが、税務署が税務調査をすれば無申告は必ずバレます。
「バレていない」という方は、今まで運よく税務調査の対象になっていないだけです。
もし、長期間申告していない状態で税務調査が入り、脱税がばれると大変な事になります。
正しい確定申告を行っているかどうかの税務調査は、一般的に3年分遡って調査しますが、問題があった場合は5年、悪質な場合は7年遡って調査します。
極端な例ですが、7年間確定申告をせずに税務調査を受けた場合、過去7年分の所得を調査されて「数年分の本来納めるべきだった税金」を請求される可能性があるわけです。
この「本来納めるべきだった税金」だけでも莫大な金額になりますが、さらに申告逃れの悪質度に応じて「追徴課税」というペナルティまで加算されます。
【追徴課税の種類】
1. 過少申告加算税(税金が少なくなるような申告した場合):10%~15%
2. 無申告加算税(確定申告をしなかった場合) :15%~20%
3. 重加算税(悪質な隠ぺい行為や脱税行為があった場合) :35%~40%
確定申告を怠ったり、不正に申告したりすると、本来払うべき税金に上記の追徴課税をプラスした金額を一括納付(基本分割不可)で支払うよう求められます。
事業の規模や追徴課税の種類によっては、生活や事業の継続が不可能になるほどの納付額になることもあります。
確定申告は確かに面倒ですし、頑張って稼いだ利益から税金を取られるのは誰だって辛いものです。
ですが確定申告をやらず、常に税務調査にビクビク怯えながらビジネスをやるくらいなら、毎年申告し、しかるべき税金を払って堂々とビジネスをしたほうが精神的にも楽です。
難しい話が続きましたが、言いたいことを要約すると「納税は国民の義務で、逃れても税務署が調査を始めれば確実にバレ、罰金も高いので必ず申告はしましょう」です。
ただし冒頭でも書きましたが、確定申告の必要があるのは一定以上の利益が出た場合です。
・個人事業主であれば年間48万円以上の利益
・会社員の副業であれば年間20万円以上の利益
例えばサラリーマンの副業の場合、年間利益が19万9999円までなら確定申告の必要はありません。(職種によってはしたほうが良い場合もあります)
年間19万9999円というと、月平均で約1万6,666円です。
副業を始めて毎月15,000円程度の利益が出るようになってきたら、確定申告を意識しておきましょう
確定申告には「白色申告」と「青色申告」がある
確定申告の方法には2種類あります。
1. 白色申告
2. 青色申告
慣れていない方に細かく説明すると頭がパンクしてしまうと思うので、簡単に説明します。
白色申告は青色申告の申請を出していない方全員が行う方法で、一言で言えば「簡単に申告できるが、控除などのメリットが少ない方法」です。
白色申告は事業の記帳(売上や経費の記録など)が簡単で、確定申告の計算も簡素化されているためシンプルで、誰でも簡単にできる点がメリットです。
ですがその分、青色申告にある特典(控除)が受けられないので、税金面で不利に、つまり青色申告よりも多く税金を支払わなくてはいけません。
一方で青色申告は、一言で言えば「帳簿の記帳も確定申告も若干面倒だけど、控除を多く受けられ税金を安くできるお得な方法」です。
青色申告には主に以下のメリットがあります。
・最大65万円の控除が受けられる
・赤字を3年間繰り越せる
・家族に支払う給与を全額経費にできる
・30万円未満の減価償却資産を一括経費計上できる
特に大きいメリットが最大65万円の控除です。
税金は所得(利益)に対してかかりますが、青色申告はこの所得から最大で65万円差し引いてくれるので、その分支払う所得税が安くなります。
そのほか、赤字繰り越しや30万円未満の経費一括計上も大きな魅力です。
青色申告は確かに日々の記帳(65万円の控除を受けるためには複式簿記という方法での記帳が必要)が複雑だったり、確定申告時の書類が多くて面倒というデメリットがあります。
ですが、それを上回るメリットがありますので、基本的には青色申告がおすすめです。
複式簿記や確定申告の書類が面倒、というデメリットは、ある程度簡単に帳簿入力や書類発行ができる会計ソフトを活用したり、税理士に依頼することで負担を軽減できます。
なお、青色申告を行うためには、青色申告を希望する年の3月15日までに税務署に書類を提出して申請をしなくてはいけません。
※3月15日以降に事業を始めた場合は事業開始日から2か月以内
輸入ビジネスで経費にできるもの
確定申告で税金を算出するための利益の計算方法は、ざっくり言えば「売上―経費」です。
つまり経費が多ければ多いほど利益(所得)が少なくなり、それにかかる税金も安くなるわけです。
と言っても、なんでもかんでも経費にして利益を抑え、税金を不当に安くするという方法は一種の脱税にあたりますので、絶対NGです。
経費の基本的な考え方としては「事業に必要な支出」に限り、当たり前ですが事業に関係のないプライベートなものは計上できません。
例えば中国輸入ビジネスで経費になるものは、以下のようなものがあります。
・仕入れ原価:商品代金等
・旅費・交通費:仕入れの際に使ったガソリン代や電車代・宿泊費など
・荷造運賃:ネットで仕入れた商品の送料や運送会社への運賃等
・水道光熱費:自宅やオフィスで事業に使用した電気代や水道代(自宅の場合按分計算)
・新聞図書費:事業に必要な雑誌や書籍の購入費用
・接待交際費:お客様との商談で支払った費用等
・通信費:事業で使ったスマホ料金やWi-Fiの利用料等
・支払い手数料:Amazonや代行業者などに支払った手数料
・広告宣伝費:スポンサープロダクトなどの広告で支払った費用
・外注費:外注や委託へ支払った費用
・地代家賃:自宅やオフィスの家賃(自宅の場合は按分)
・消耗品費:ガムテープや梱包材、パソコンなど事業で使用する備品など
あくまでも一例で、この他にも経費になる支払いや項目は色々とあります。
支払い一つ一つを確認し、「事業で使用したかどうか」を判断して、計上していきましょう。
輸入ビジネスで経費にできないもの
一方で、多くの人が迷いやすい「経費になりそうで経費にならない微妙な支払い」をまとめました。
・服や眼鏡
・交通違反の罰金
・事業主の税金
・事業主の国民年金(所得控除は可能)
・国民健康保険料(所得控除は可能)
・事業主の健康診断費用
・事業上のケガによる治療費・整体費(所得控除は可能)
・夜のお店などの費用(仕事上不可欠と見なされればOK)
・二次会費用(費用として認められるのは一次会まで)
一つ一つの判断のややこしさはもちろん、個人事業主なのか法人なのかによっても項目や経費計上できる範囲が変わります。
判断に迷ったら税理士さんに問い合わせて確認するのが確実です。
最後に
確定申告は確かに面倒ですが、事業をやっている以上避けては通れません。
ただ、税理士さんに依頼したり、仕訳や帳簿をある程度覚えて日々きちんと記帳してさえいればそう難しいものではありません。
もちろん今の説明ほど簡単ではありませんので、自分でやる場合、おそらく初年度は四苦八苦しながら作成することになると思います。
もし不安な方は全国の確定申告説明会や、自治体で行っている税理士さんの無料相談会などを利用するのも良いでしょう。(自治体のHPや税務署のサイトで情報を入手できます。)
また、今は帳簿付けや確定申告用の書類作成が簡単にできる会計ソフトも色々出ています。
会計ソフトは自分で入力する必要はありますが、日々ちゃんと記帳入力するだけで利益や経費などはすべて自動計算してくれます。
あとは確定申告の時期が来たら必要書類を印刷して、必要な資料があればそれと一緒に持っていけば終わりです。
どうしてもできない、という方は多少費用(数万円~数十万円)がかかりますが、税理士さんと契約すれば記帳から確定申告まで、ほぼすべてを代行してもらえます。
もちろん税理士報酬や会計ソフトの利用料などは経費にできるので、確定申告を簡単に終わらせるためにこれらもうまく活用していきましょう。
大事な事なので繰り返しますが、確定申告と納税は国民の義務ですし、申告しなかったり、ごまかせば後々大きなペナルティを受けます。
結局なんだかんだ言っても「確定申告はちゃんとやる」のが一番です。
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