中国輸入ビジネスにおける安売りの魅力とリスク
中国輸入ビジネスは、商品を仕入れてAmazonなどのプラットフォームで販売する、いわゆる「物販」ですので基本的には常に在庫を持って、その在庫を売っていく形になります。
従って商品は売れなければ単なる「モノ」でしかなく、売れてお金に代わって初めてビジネスとしての形を成します。
そのため中国輸入ビジネスでは、常に「どうやって売るか」を考えなければいけません。
「売る」という結果を出すことが物販ビジネス継続の前提条件です。
もちろん何もせずただボーっとしていても商品はなかなか売れてくれません。
売るためのアクションを自らが積極的に行い、商品をどんどん販促していかなくてはいけません。
売るためのアクションには様々な方法がありますが、その中でも最も単純かつ効果的なのが「値下げ」でしょう。
相乗りならほかの出品者の中で一番安くする。
オリジナルのOEM品なら類似品よりも安くする。
商品原価の安い中国輸入品は多少の値下げをしても利益は確保できますし、値下げすることで確実に売れ行きは伸びます。
そうなると値下げはいいことづくめな気がしますよね。
ですが「売るためのアクション」として、値下げは本当に正しいのでしょうか。
今回は中国輸入ビジネスにおける「値下げ」について解説します。
値下げの効果と反動
値下げに関して、「効果があるかどうか」だけで言えば答えは「YES」です。
「価格が安い」という誰にでもわかりやすい、数値で見られる事実は購入ユーザーに対して強力なインパクトと訴求効果があります。
他の同一商品や類似商品より1円安くするだけでも、売り上げは一時的に大きく伸びるでしょう。
ですがこの値下げによる効果はあくまでも一時的なものです。
安くした程度で商品が永久に売れるのであれば、物販の売れ行きで頭を悩ませる人は存在しなくなります。
実際にはそううまくいかないから、すべてのAmazonセラーは日夜試行錯誤をしているわけです。
値下げの効果が一時的である理由ですが、少し考えるとすぐにわかります。
例えば私が相乗り商品の価格を最安値にした場合、同じく相乗りしている他のセラーはどう考えるでしょうか。
当然、私が販売する商品に流れてしまったユーザーを取り返そうと思いますよね。
そうなった時、多くのセラーが「値下げした商品の価格に合わせる」という方法で取り返そうとするはずです。
私が1500円の商品を1000円に値下げしたことで売り上げが伸びたとしたら、ライバルも1000円に価格を合わせてくるわけです。
特に今は「競合セラーの商品を常時監視し、商品価格が下がったら即通知する」という便利な機能が付いた販売ツールがあります。
値下げを行った瞬間にほかのセラーにもその情報がリアルタイムで伝わり、即同じ価格に修正されてしまいます。
ということは、私がやった値下げの効果が持つ時間は数分~長くてせいぜい半日程度です。
利益を削ってまで値下げを行ったのに、一瞬しか効果が無いというのも悲しいですがこれが現在のAmazon物販の現実なのです。
さらに一人のセラーが単独で値下げを行うことで、場合によっては市場が荒れます。
例えば私が1500円の商品を1000円に下げたとします。
すると別のセラーさんは、私よりも多くのお客様を呼び込むために990円に値下げします。
そうなると、さらにそれに勝つために私や別のセラーが価格を980円にする…といういわゆる「値下げ合戦」の無限ループに陥ります。
これが一定サイクル繰り返されるとどうなるか…値下げ合戦に歯止めが効かず、最終的にセラー全員が赤字になって共倒れするという、とんでもない結果になります。
値下げは自分を含めたセラー全員が損をする、不必要な混乱をもたらすことが多いので、安易に値下げという手段を取ることはおすすめできません。
カートを取るためにわざと最低価格よりも1円安くしたりするセラーがいますが、たった1円でも値下げ合戦のトリガーになります。
結局1円下げた価格に他のセラーが合わせてくるだけなので、ほとんど意味がないのです。
楽をすると癖になる
値下げは簡単にできますし、一時的とはいえ確実に売り上げを伸ばせる魅力的な手段です。
ですが手軽でそれなりに効果があるせいで、逆に売るために値下げという手段「だけ」に頼るセラーが多くいます。
「値下げして売れる⇒売れなくなる⇒値下げする⇒売れなくなる⇒値下げ」
これでは値下げするたびに利益を削っているので、そのうち売っても売ってもまったく利益が伸びなくなります。
中国から仕入れた商品を右から左に流すボランティアをしているようなものです。
売るための方法として値下げしかできないようでは、決して利益を出すことはできないでしょう。
そもそも値下げなんかしなくても、商品が品質に対して適正価格であればお客様は買っていきます。
にもかかわらず一人のセラーが短絡的な利益を求めて値下げに走ることで、お客様も値下げされた価格に慣れてしまいます。
人為的に適正価格が下がるのです。
その結果相場が崩れ本来の適正価格では売れなくなり、その商品は「超薄利多売ビジネス」という全く魅力のないビジネスに成り下がるのです。
経費が多くかかる中国輸入ビジネスで薄利多売を行うと、利益が残らないただ働きや、最悪の場合原価割れを起こしてしまう可能性もあります。
値下げは「劇薬」です。
手段の一つとして持っておき、適正なタイミングで使用するのは構いませんが、安易に使うものではなく、どちらかというと「最終手段」の一つになります。
中国輸入ビジネスにおいて大事なことは、安易な値下げして売ることではなく「適正価格で売って正しい利益を得る」ことです。
いずれ自然に商品価格は下落する
商品には適正価格というものがあり、その価格で売れているなら利益率99%でも1%でもそれが適正価格です。
ですがその適正価格は、出品者が何もしなくても時間の経過とともに自然と下がり始めます。
理由や要因は様々ですが、ユーザーのニーズが満たされたり、新モデルの登場、ライバルの競争過多といった理由からいずれ当初の価格では売れなくなっていきます。
このように商品の価値は自然と失われていくので、わざわざその前に自分から値下げしてその価値を下げて売る必要はありません。
売れる価格、「適正価格」で売りましょう。
ただ、もし商品の価値が自然と下がってきて利益を出すのが難しくなってきたら、その商品には固執せずすっぱりと値下げして損切りしましょう。
「安易な値下げをするな」「値下げは最終手段」とさんざん言っておいて値下げしろなんて、見ている人は「あれ?」と思うかもしれません。
ですが値下げしたわけではなく、商品の価値が自然と下がってきたうえで利益を出なくなってきた場合、もうすでにその商品の価値は「末期」です。
売れなくなった商品を高値で出品しておいても意味がありません。
末期であるならば、赤字を避けたり損失を最小限に抑えるために、迷うことなく最終手段の値下げという経営判断を行ってください。
いわゆる「見切り処分」「在庫処分」「赤字処分」です。
その結果、利益率が1%になってしまってもそれが商品の適正価格であれば仕方がないのです。
この値下げの判断は、コンビニやスーパーに置き換えると分かりやすくなります。
例えば「お刺身」、並べた直後は当然定価で販売しますが、夕方頃に賞味期限が迫ってきたら値下げシールを貼って閉店までに売り切るようにしますよね。
でないと売れ残ってしまい、翌日には商品価値がゼロになり、商品によっては廃棄処分、つまり赤字になってしまいます。
扱うものは違いますが、考え方は同じです。
中国輸入する商品のほとんどに「賞味期限」は無いかもしれませんが、「商品価値期限」はあります。
売れなくなってきた、といった商品価値期限が迫っているサインが見えた商品は迷わず値下げを行って売り切ってしまいましょう。
売れているなら安易に値下げしない。
ただし売れなくなってきたら値下げして一気に売り切り、その商品は店じまいする。
繰り返しお伝えしていますが、「適正価格で売る」、これが鉄則です。
「値下げ」という強力な手段には適切な使用タイミングがある
値下げは初心者でも簡単に選択できる効果的な手段ですが、安易に実行してはいけません。
・商品画像取り直し
・商品説明見直し
・スポンサープロダクト広告
このように値下げする前にやること、できることは山ほどありますので、まずは「値下げ以外で商品を売る方法」から色々試してみましょう。
そもそもの話をすると、「値下げをしないと売れない」商品を選んだ時点で仕入れは失敗と言えます。
商品が売れるかどうかはリサーチや仕入れの時点で8割ほど決まっています。
なぜなら仕入れてしまったら「国内に輸入して商品ページを作る」くらいしかやることは無いからです。
値下げなんて手段を取らなくても安定して売れる商品を仕入れられるよう、リサーチ力を磨いていきましょう。
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