ブランドの話と、ブランドを確立する方法について
中国輸入販売では、中国から輸入した商品をAmazonで販売する際、主に2通りの販売方法があります。
1.そのままノーブランド品として販売
2.自分のブランド名を冠してオリジナルブランドとして販売
Amazonでは近年「ブランド登録」ができるようになっています。
ブランド登録をすると、商品に独自のショップページを持つことができ、デザインを自由に編集できるようになります。
独自のブランドページは編集が大変ですが、一度作り上げてしまえばお客様に自分の商品の魅力を強く伝えることができる唯一無二の武器となります。
そのため筆者はAmazon販売を教える際は、できる限りブランド登録することをおすすめしています。
ところで、みなさんは「ブランド」って何かご存知でしょうか。
普段から当たり前のように使っているこの「ブランド」ですが、いざ聞かれるとその意味を正しく答えられない、という方も多いのではないでしょうか。
ブランドを正しく理解することは、Amazonで中国輸入商品のブランドを立ち上げて販売するときの大きなポイントとなります。
「ブランド」について理解を深めることで、商品の売り方、売上にも影響してきます。
今回はこの「ブランド」についてお伝えします。
私たちの日常生活において当たり前のように使っている「ブランド」について、深く考えたことがある方は少ないと思います。
それだけ日常の言葉として定着しているからです。
もちろん「お客様(買い手)」であれば、ブランドについてそこまで正確に意味を理解する必要はないかもしれません。
「ブランドはブランド」
このくらいの認識でも、何か支障が出るわけではありません。
ですが、「セラー(売り手)」の場合「ブランドはブランド」という認識では、ちょっと問題が出てきます。
売り手が正しく「ブランド」の本当の意味を理解することで、自分のブランドを立ち上げる際に必ず役に立つでしょう。
セラー(売り手)側にとっての「ブランド」とは
セラーにとってブランドとは単なる称号ではなく、「お客様に自分の商品を正しく認知してもらい、選んでもらうための指標」です。
大前提としてここを理解していないと、Amazonでブランドを立ち上げても「ただ独自の名前を付けただけ」になり、きっとうまくいかないでしょう。
では、ここでもう一度「ブランドとは何か」を考えてみてください。
・商品に固有名詞(ブランド名)をつける事
・商品に固有のロゴを付ける事
・価格を上げるための付加価値
・他社製品との違いを出すためのオリジナリティ
ブランドについて考えた時、上記のような考えが出たとしたらすべて不正解です。
不正解とまでは言わなくても、正確ではありません。
ルイヴィトンやエルメスのような超有名なハイブランドでない限り、お客様にとって商品に名前やロゴが付いているかどうかなんてどうでもいいのです。
ましてや誰も知らない中国輸入製品に、誰も知らない名前やロゴを付けたところで、それはお客様にとっての「ブランド」ではなく「セラーの自己満足」にすぎません。
「お客様に商品と名前が広く認知」されることで、初めて名前やロゴがブランドと結びつくのです。
例えば、ルイヴィトンやエルメスは誰もが「ブランド」と認めるブランドです。
日本はもちろん、世界中の方がブランドと認知していて、何十万、何百万出してでもそのブランドの商品を買い求めます。
では、例えば我々がこれらハイブランドと同じデザインの商品を作って、オリジナルブランドの名前を付けて売った場合、同じような価格で売れるでしょうか。
もちろん売れるわけがありません。
なぜならそれはルイヴィトンやエルメスではないからです。
もちろんそもそもデザインの模倣は著作権侵害で、訴えられたり捕まりますのでやる人はいないと思いますが、もし仮にやったとしても同じ価格で売れるわけがないのです。
ブランドの定義は「広く認知されていること」ではない
ニュアンスを伝えるのが難しいのですが、「みんなが知っていればブランド品になるのか」というとそうではありません。
もちろんブランドの条件として「広く認知される」ことも必要です。
各メーカーやブランドは自社のブランド名やロゴを認知してもらうために、多額の広告費を使って広告を打っています。
ただ、この認知・周知は、あくまでもブランドを構成する要素の一つにすぎません。
「認知度」がブランドのすべてだとしたら、同じく世界的に有名なadidasやナイキの商品が、ルイヴィトンやエルメスと同じ価格で売れてしまうことになります。
ですが実際はそうではないですよね。
ブランド=資産価値
ブランドは認知度だけではなく、商品・素材・品質・ロイヤリティ・イメージといった無数の要素が集まり、世間に認知されて出来上がるものです。
これを我々は「Brand Equity(ブランドエクイティ)」と呼んでいます。
直訳すると「ブランドの資本」とか、「ブランドの資産価値」という意味になりますが、このブランドエクイティの高いものが本来ブランドと呼べるものです。
これまで説明してきたことをいったんまとめると、「お客様が買う理由・選ぶ理由になるもの」が「ブランド」です。
ルイヴィトンと同じ素材、同じデザインのバッグを作ってもルイヴィトンと同じ価格で売れないのは、それが「ルイヴィトンではない」からです。
お客様がその価格で買う理由、選ぶ理由が無いからに他なりません。
今回はわかりやすいハイブランドで例えましたが、これはハイブランドの世界だけではなく、大小すべてのブランドで起きる話です。
ブランドはブランディングで作り上げた「1つの結果」
ここまでの話で、「ブランド」が単なる名前やロゴ、認知度の高さで決まるという単純なものではないことが分かってもらえたと思います。
名前やロゴ、販売している商品、お客様からのイメージ…ブランドとはそういった様々な要素が集まって形作った「一つの結果」です。
作ろうと思ってすぐ出来上がる物ではなく、ブランドが完成するまでには長い時間と莫大な費用といった努力が必要です。
・名前
・ロゴ
・コンセプト
・ターゲット
・イメージカラー
・ストーリー(ヒストリー)
各企業は自社のブランドを確立するために、これだけしっかりと準備してから立ち上げるのです。
そして生み出したブランドを浸透させるため、その後莫大な予算と時間をかけて販売や宣伝を行い、ブランドを世間に浸透させていきます。
このように、ブランドは名前やロゴを作って商品の販売を始めれば完成、ではなく、その後も予算や時間をかけて育て上げる必要があるのです。
このブランドを育てるアクションを「ブランディング」と呼びます。
我々はブランドではなく「ガレージブランド」を目指すべき
ここまでで、「ブランドを立ち上げるのは非常に大変だ」という話をしました。
ブランドを立ち上げ、世間に浸透させるには莫大な予算と時間が必要で、経営体力の少ない個人や小規模事業者がブランドを確立するのは「ほぼ不可能」です。
ではAmazonで販売する商品にブランド名を冠したり、ロゴを付けたりする作業も意味が無いものなのか、と言えばそんなことはありません。
確かに我々が今から、adidasやLouis Vuittonのような「日本全国、世界中の誰もが知るブランド」を確立させていくのは不可能です。
ですが、この「日本全国・世界中の誰もが知る」をぎゅっとスケールダウンさせることで、ブランドの確立が可能になります。
それが「ガレージブランド」です。
多くの人は知らない、でもある特定の範囲、ニッチな分野で一部のユーザーから強く支持される「知る人ぞ知る優良ブランド」。
このガレージブランドであれば、個人や小規模事業者にも決して不可能ではありません。
ガレージブランドとは「知る人ぞ知る優良ブランド」
ガレージブランドとは、小規模ではあるものの、特定の分野で独創性の高い、高品質な商品を販売するブランドです。
広く浅くユーザーのニーズを拾う大手ブランドと違い、お客様に近い目線で、一部のユーザーにピンポイントで強烈に刺さる商品を開発するブランドです。
例えば「NO.164」というブランドはご存知でしょうか。
おそらく一般の方はほとんど知らないと思いますが、アウトドアを趣味にしているはピンと来たのではないでしょうか。
No.164は芸人のヒロシさんが立ち上げた、アウトドアグッズのブランドです。
アウトドアを趣味にしているヒロシさん自身の経験から「こういうものがあったら便利だな」という製品を製造・販売しています。
既存のアウトドアブランドでは作れなかった、作らなかったエッジの効いたユーザー目線の商品がアウトドアユーザーに受け、人気のブランドとなっています。
これもガレージブランドです。
特定の分野で、一定数の特定ユーザーのみに刺さるニッチな商品を販売するガレージブランド。
我々が目指すのはまさにこのガレージブランドです。
ガレージブランドも簡単ではない
もちろん通常のブランドに比べると実現可能なレベルとはいえ、ガレージブランドの実現もそう簡単なものではありません。
ガレージブランドを確立するためには、「一部のユーザーに強烈に刺さる、独創性の高い高品質な商品」を作り出さなくてはいけません。
例えば、「何の変哲もない扇風機」を作ったところで、日立やアイリスオーヤマには勝てません。
ですが、もし独創的で高品質な扇風機を製造できれば、お客様は日立やアイリスオーヤマの扇風機ではなく、自分の商品を選んでくれるかもしれません。
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