【物販ビジネスの基本「売上」「利益」「在庫」の3つの数字について】
今回は物販ビジネスの基本となる3つの数字、「売上」「利益」「在庫」についてお話しさせていただきます。
今までこのコラムを読んでいる方の中には「今さら?」と思う方もいるかもしれません。
ですが、実は「知ったつもりになっている」とか、「知ってはいるけど深く考えたことが無い」という方も意外と多くいるはずです。
そもそも「数字が好き」という方はあまりいないのではないでしょうか。
おそらく多くの方が数字に対して「苦手」とか「弱い」という意識を持っていて、数字を突き詰めるとか、深く考えるのを避けている方も多いのでは…と筆者は思っています。
もちろん筆者もそこまで数字が好きというわけでもありませんし、決して得意なほうでもありません。
ですが、物販ビジネス(というよりも利益を追求するビジネス全般)において、「数字に弱い」というのは致命的な問題です。
誰しも好き嫌いはあるので「嫌い」なのは仕方が無いとして、せめて「苦手」は克服しておきましょう。
とはいえ、数字も深くその意味を知ると案外面白いものです。
今回はそんな物販ビジネスの基本の3つの数字、「売上」「利益」「在庫」のお話です。
冒頭でもお話ししましたが、「数字が好き・得意」という方はきっとそう多くないと思います。
ですが、ビジネスでは売上や利益や在庫数はもちろん、他にも経費などの数字、そしてその数字の差異確認や修正といった「様々な数字を追求する」ことが必要不可欠です。
つまり数字の弱い人は「ビジネスに弱い」のです。
一会社員なら、数字に弱くても営業や販売などの他のスキルがあれば給料をもらえますが、事業者は数字にも強くなければ事業を順調に継続させることはできません。
だからこそ、経営コンサルティングのようなビジネスの数字について詳しく教えてくれるビジネスも成り立つのです。
ただ、今回解説する数字はコンサルで学ぶような高度な数字ではなく、「最低限知っておくべき基本中の基本の数字」です。
1.売上
2.利益
3.在庫
まずは最低限、この3つの数字の意味について正しく、そして深く理解しておいてほしいです。
「そんなの知っているよ」という方もいるかもしれませんが、各数字の持つ「本当の意味」まできちんと理解しているでしょうか?
「商品が売れて入ってきたお金が売上」程度では理解しているとは言い難いです。
なので、「実はよく知らなかった」という方も「知っている(つもり)」という人も、まずはこの記事を読み進めてみてください。
単純な説明ではなく、「物販ビジネスにおける各数字の意味」について詳しく解説しますので、必ず新しい気づきや発見があるはずです。
「売上」…何よりも優先して追求するべき数字
「売上」はビジネスでお客様から得たお金で、これ自体は「儲け(利益)」ではありませんが、これが無いとビジネスが成り立ちません。
なのでこれから物販ビジネスやそのほかのビジネスに取り組もうとしている方は、最終的な儲けである利益より、まず「売上」を優先すべき、と覚えてください。
なぜなら「利益は売上の中にある」「売上の後から利益が付いてくる」からです。
利益などの「ビジネスを次につなげる数字」はすべて売上から発生します。
売上や利益が伸び悩んでいる方の話を聞くと、「売上ではなく、何よりもまず利益を取る事を考えている」方が多いです。
利益を作るためには売上を作らなくてはいけないのに、売上よりも前に利益について考えている…順序がおかしいですよね。
利益を作るためには売上が必要、つまり「ビジネスにおいて売上が最優先」です。
売上さえ上がれば必然的に利益も伸びますし、売上さえあれば商品の利益率を調整したり、経費削減を行って「売上の中から利益が取れる状態」に改善することも可能です。
ビジネスでは利益の少ないお得な商品で集客する「フロントエンド」から入り、顧客が付いてから利益率の高い商品を買ってもらう「バックエンド」が基本となります。
「儲けたい」とか、「とにかく利益」という気持ちはわかりますが、それでは短期的には稼ぐことができても、いつまでたっても安定して利益を得ることはできません。
1カ月で10万円の利益を出してその後ビジネスが停滞するより、ひと月3万円の利益を1年間継続したほうがお得なのは明らかです。
なのでまずは利益よりも、売上そのものを増やすよう意識しましょう。
「利益」…ビジネス継続の元となる数字
「利益」とは、主に売上から原価や手数料などの経費を差し引いて、最終的に手元に残ったお金で、「儲け」とも言います。
利益が無いと自身の生活はもちろん、今後ビジネスを発展させるための仕入れも備品も買えなくなるため、ビジネスを継続するうえで利益は必要不可欠です。
売上がある程度伸びてきたら、並行してしっかりと無駄な経費などを削減して利益を確保できるよう改善を行いましょう。
無駄な経費の一例としては、物販ビジネスを始めたばかりの人の中には高額なツールやサービスを利用しようとしている方がいます。
筆者としては、初心者や規模の小さいうちは高額なツールやサービスを使うより、その分の費用もどんどん仕入れに回して規模を大きくしていくことをおすすめします。
ツールやサービスは、あくまでもより利益を伸ばすために使うものです。
毎月1万円しか利益が出ていないのに、月額8000円のツールを使っていたら2000円分しか在庫を増やすことができませんよね。
であれば、ツール代8000円も仕入れに回して1万円分の在庫を増やし、何よりも売上と利益を伸ばす方に全力投球すべきです。
「まずは売上と利益を伸ばすことが最優先」で、さらに「利益はできる限り次の仕入れにしっかり回す」が最初にやるべきことです。
規模の小さいうちは、高額なツールやサービスを利用しても効率的に役立っているとは言えないでしょう。
もちろん「初期投資」という考え方もありますし、高額なツールやサービスにはそれなりの価値があり、決してツールやサービスへの投資が無駄とは言いません。
ですが、初心者のビジネスを加速させる一番の起爆剤は高額ツールではなく原資、つまりここでいう「利益⇒仕入れ」を利用した「複利」です。
ツールにもよりますが、月10万円程度の利益であれば高額なツールは必要なく、無料ツール、もしくは安価なツールで十分なことがほとんどです。
規模が小さいうちに利益の何割も消費する高額ツールを使うと、ビジネスを加速させるどころか逆にランニングコストでブレーキをかけてしまいます。
万が一ビジネスチャンスが来た場合、高額ツールで多額のランニングコストがかかっているような状況では思い切った勝負に出られません。
そうこうしているうちにライバルに先を越されたり、もっと売上を伸ばせたはずの商品の類似品が出回り、思ったように売上が伸ばせなくなるでしょう。
ビジネス、特に昨今の物販ビジネスにおいてはとにかくスピードが命です。
スピード感を持って事業を大きくしていくために、まずは何よりも在庫を積み増しすることを最優先に考えましょう。
さらに、先述したように第一優先は売上ですが、同時に利益を伸ばす方法や施策も並行して進めていく必要があります。
売上を優先しすぎるが余り、不要な値下げや格安の価格設定などをしてはいけません。
値下げや安めの設定価格自体が間違っているわけではありませんが、不要な値下げは当然利益を削ります。
利益を削ると言うことは今後ビジネスに使える原資、つまり自分の未来の可能性を削っているに等しいのです。
「在庫」…物販ビジネスにおいて実は一番重要な数字
在庫とはそのままの意味で、「現在抱えている商品」です。
ビジネスにおいては売上優先、それと同時に利益についても考えなくてはいけない、と解説しましたが、その一方で「一番気にしておかなくてはいけない数字」がこの「在庫」です。
コラムで何度かお伝えしていますが、物販ビジネスにおける在庫は人間でいうところの「血液」のようなものです。
血液は絶えず全身を巡り、「酸素」や「栄養素」といった健康・生命維持に欠かせない成分を全身に届けています。
一方物販ビジネスにおける在庫は、「売上」「利益」というビジネスの健康や維持に欠かせない要素を含んでいます。
この在庫が売れることでその利益で新しい在庫が入り、また売れて…とビジネス内で循環していることによって次々と売上や利益が発生し、ビジネスが継続できるのです。
もしこの在庫の流れが止まってしまえば、売上も利益も発生しなくなり、ビジネスは死んでしまいます。
従って物販ビジネスでは、いかにこの在庫を綺麗に回すのか、また不良在庫を残さないかが重要になってきます。
そのためには在庫全体を常に監視し、「売れている商品」はもちろんのこと、「売れていない商品」にも気を配らなくてはいけません。
ですが多くの人が「売れている商品」にばかり気を配り、「売れていない商品」は「いつか売れるだろう」と考えてみて見ぬふりをしています。
確かに売れている商品を回していられるうちは売上も利益も伸びますし、数字が伸びている以上ビジネス自体も楽しいでしょう。
ですが、どんなプロでも仕入れた商品の数%は不良在庫になります。
不良在庫を放置しておくと、一見ビジネスが順調そうに見えても、その裏で不良在庫が少しずつ老廃物のように倉庫の隅に溜まり続けます。
商品は売れて初めて「商いの物」になるわけです。
不良在庫は売上や利益にならず、かといって次の仕入れのための原資になるわけでもなく、誤解を恐れず言えば価値的に「置物」や「ゴミ」に等しいものです。
突然売上がガタ落ちし、原因を探したら倉庫が不良在庫でいっぱいになっていた、なんて状況になってからではもう手の打ちようがありません。
ただでさえ売れていなかった商品です。
時が経って気づいたその頃には商品の「旬」は完全に過ぎ去り、赤字価格にしても売れないでしょう。
私たち中国輸入セラーが扱うものは固定ファンのいるブランド物ではなく、その時のニーズを掴む「トレンド物」がほとんどです。
ニーズが過ぎたり、ライバルが溢れかえればその価値は二束三文、もしくはそれ以下です。
当初1000円、もしくはそれ以上で売れていて、最終的には100円でも売れなくなったハンドスピナーがいい例です。
こうなってしまうと、不良在庫はいよいよ本当の意味での「ゴミ」になります。
筆者も昔このようなミスをしたことがあり、その時は不良在庫をヤフオクの1円スタートで出品したのですが、ものの見事に1円で落札されて落ち込んだことがあります。
1円のために梱包して送る手間をかけるくらいなら、出品せずにそのままゴミ袋に入れて捨てたほうが時間効率的に言えばお得です。
中国輸入ビジネスの商品は、旬が過ぎるとそのくらい価値が落ちるのです。
そんなものがある日突然、倉庫に溢れかえっているのを見つけたらどうなるか。
もちろんキャッシュフローはガタガタになり、その補填のために今までの利益が吹き飛び、状況次第でビジネスの継続も怪しくなります。
在庫をきちんと監視しておかないと、こうしたとんでもない事態が起きる可能性があるのです。
このような状況にならないよう、在庫が回っていて不良在庫が少なく、また不良在庫の価値が残っているうちに、赤字でも良いので少しずつ処分していきましょう。
1割の商品で赤字になっても、9割の商品でそれを補える利益が出せていればビジネス全体としては黒字です。
むしろ100%の商品で利益を出そうという、プロでも不可能な経営を行おうとする方が不自然で無理があります。
「売れない商品・赤字商品が多少出るのは当たり前」
これも物販ビジネスのセオリーですので、不良在庫は適宜処分して健全なビジネスを継続させていきましょう。
最後に
今回解説した「売上」「利益」「在庫」はビジネスの基本中の基本です。
この一見誰でも理解してそうな基本の数字も、深く掘り下げるとかなり奥深い数字であることが分かってもらえたのではないでしょうか。
・売上…何よりも優先して追及すべき数字
・利益…常に改善して好転できるよう工夫すべき数字
・在庫…ビジネスの健康維持の為に常に把握しておくべき数字
物販ビジネスでは良い意味でも悪い意味でも、様々な市場の変化や経営の変化があります。
ですが、そんな時も「軸」さえしっかりしていれば大きなダメージを受けたり、大きく動揺して判断を間違えることはありません。
その軸となるのが今回の3つの数字です。
逆を言えばこの3つの数字さえきちんと意識し続けることができれば、その他の数字や要因は「おまけ」にすぎません。
それくらい今回の3つの数字は基本にして重要なものです。
常に意識できるよう、毎朝ビジネスの始まりに復唱したり、見えるところに書いて貼っておくぐらいしても決してやりすぎではありません。
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