広告で見つけた「メルカリ激安古着転売」について現役セラーが考察する
Facebookでは様々な広告が回ってきます。
そのほとんどは特に興味も湧かず、ちらっと見るだけなのですが…実は先日、その中で気になる広告を見つけました。
「メルカリ激安古着転売ノウハウ」というものです。
筆者も販売業を営んでいますので、他の方が実践している販売方法やノウハウは気になります。
そこでちょっとこのノウハウをチェックしてみることにしました。
このメルカリ激安古着転売ノウハウを簡単に説明すると、あるところから古着を安く仕入れて、メルカリで売って利ザヤを稼ぐ、いわゆる「せどり」です。
せどり自体は特に目新しいものではないのですが、筆者がこのメルカリ激安古着転売ノウハウで驚いたのがその仕入れ値と利益率です。
長年販売業をやっている筆者ですら聞いたことが無いような激安価格で仕入れが可能で、販売時の利益率は平均で50%オーバー。
※参考までに、通常物販の利益率は10~15%、高くても20%ほどです
確かに中古品はうまくやれば利益率が高く取れるジャンルですが、それにしても異常な数字です。
しかも古着なので中国輸入ビジネスのように中国で大量生産して輸入したり、同じ商品を倉庫に大量に積み上げる必要もありません。
話だけ聞くとまさに夢のような手法ですね。
もちろんこの時点ですでに「そんなうまい話あるわけが…」と疑ってはいました。
ですが、物販において情報やノウハウは「金の成る木」です。
全部ではなくても、一つでも筆者のビジネスに活かせる情報やノウハウがあれば儲けものです。
もし万が一、本当に書いてある通り安く仕入れて高く売れるのであれば、特に資金の少ない初心者におすすめしてあげられるかもしれません。
色々な思考や感情が渦巻き、そして若干ワクワクしながらその広告の動画を最後まで観てみました。
今回はそのメルカリ激安古着転売ノウハウの動画を観た感想や、筆者なりの考えについてお伝えします。
この記事の目次
筆者が見た「メルカリ激安古着転売ノウハウ」とは
先ほどもお伝えしましたが、「メルカリで古着を転売する」こと自体は特に目新しいものではなく、今も多くの人が実践しているせどりジャンルです。
にもかかわらず、今回なぜ筆者が今回の「メルカリ激安古着転売ノウハウ」の広告に興味を持ったかと言えば、その仕入れ値の安さです。
一般的に「激安価格」と表示されていても、いわゆるバナー広告用として人の目を引くように若干大げさな表現をしたものがほとんどで、大して安くなかったりしますよね。
ですが、今回の広告にあった仕入れ値はまさに数百円~と激安で、しかもそれが数千円~1万円前後で売れるというものです。
これが本当なら筆者もこちら側のビジネスに乗り換えたいくらいです。
激安価格で一流ブランド品の仕入れができる!?
しかも今回の動画で紹介されていた仕入れ商品は、ノーブランドではなく、Nikeやadidasといった有名なブランドばかりでした。
さらに中にはGUCCIやHermèsといった高級ブランド品まで、わずか数百円で仕入れられるというのです。
高級ブランド品であれば、どんなに状態が悪くても店頭で数千円はするはずです。
ミドルクラスのブランド品なら数百円で仕入れも可能ですが、これだけの人気ブランドやハイブランドを数百円で仕入れるなんて聞いたことがありません。
うまい話にはリスクがある!
この時点で皆さん何となく察しているかと思いますが、やはりおいしすぎる話には落とし穴やリスクが存在します。
「メルカリ激安古着転売ノウハウ」のリスク
今回の「メルカリ激安古着転売」には、一見リスクが無いように見えます。
動画をチェックすると、確かに業者からの仕入れですし、動画でも「リスクや違法性はない」と謳っていました。
もちろん業者から古着を仕入れ、メルカリで販売する行為自体にはなんの違法性も問題もありません。
※確定申告しないとか、古物商許可を取得していない場合は法律違反になる可能性があります
ですが、このノウハウ動画は「商品そのもののリスク」という重要な話をしていません。
皆さんも何となく感じていると思いますが、業者から数百円で仕入れたadidasやGUCCIと聞くと、「それって本物なの?」と思いますよね。
このような人気ブランドの商品なら、状態がものすごく悪い物を投げ売りしたって千円以上にはなるはずです。
高級ブランドであれば、数十年前のモデルだって数千円程度の値は付きます。
そんな商品が、しかも高値で売れる状態で安く仕入れられるとなれば、その商品自体に疑いを持つのも当然です。
結論を言うと、この動画が言っているおいしい話は全て「商品が100%本物である前提」で成り立っています。
逆を言えば、「偽物である可能性」については一切言及していません。
一般的に考えて、GUCCIやNikeが数百円で売っていたら、偽物やコピー品である可能性を考えますよね。
それについてこの動画では一切触れておらず、「本物である根拠」が何一つ証明されていないのです。
「メルカリ激安古着転売」の動画を観終わった筆者の感想
ノウハウ動画を最後まで細かくチェックしてみましたが、結局仕入れる商品の真贋については一切触れられませんでした。
強いて言えば「ちゃんとした業者から仕入れているから大丈夫」くらいの保証です。
今回のノウハウのポイントは「激安で仕入れて高く売る」ですが、メルカリで高く売れるのは、「商品が本物のブランド品であった場合のみ」です。
にもかかわらず、その一番重要な点をなあなあにして「安く仕入れられる」「高く売れる」というメリットだけを強調していました。
色々面白い視点や考え方もあるにはあったのですが、「本物の保証をしていない」時点で、筆者はこのノウハウに価値はない、と判断しました。
安く買える仕組みが分からない
一般的にブランド品を買い取る業者は、何年、何十年と積み上げた鑑定ノウハウがあり、鑑定する人はそのノウハウをしっかり叩き込まれてから買取を行います。
特に現在では「スーパーコピー品」という、プロの鑑定士ですら欺く精巧な偽物が出回っています。
それを見抜き、本物だけを買い取るために、買取店では教育に長い時間をかけますが、この教育にも当然コストがかかっています。
買取店も事業としてこのコストを回収し、利益を出さなくてはいけません。
従って、買取店におけるブランド品の買取相場は、美品であればざっくり「定価の約3割」程度と言われています。
ハイブランド品になると5割程度まで上がるそうです。
つまり定価1万円の商品であれば、大体3000円~6000円の買取になるわけです。
この買取の仕組みを考えたとき、今回のノウハウで仕入れができる数百円の商品っていったい何だろう、という話です。
よほど状態が悪いのであれば可能性としてなくはないのですが、その場合例え数百円で仕入れても高く売ることは不可能です。
物流や物販の仕組みを知っている人ほど、「数百円で仕入れて数千円で売る」のカラクリが分からなくなります。
ブランドを数百円で仕入れたら普通は業者に売る
そもそも、もし筆者が本物を数百円という価格で販売できる業者なら、せどりをしている一般人に売らず同じ業者に売ることを考えます。
一般人相手に商売をしても、取引実績や信用の積み重ねにもなりませんし、確実に買ってくれるかどうかも分かりません。
さらにクレームやトラブルの可能性も業者同士の取引よりもずっと高いです。
こんなリスク負って一般人に安く販売するくらいなら、高く確実に、そして大量に買い取ってくれる業者に売った方がメリットははるかに多いです。
というより、メリットしかないくらいです。
にもかかわらず、その激安で一般人に卸している業者はなぜ利益を削り、手間をかけてまでせどりをしている一般人に売るのでしょうか。
ここまで言えば、もうほとんどの方が理解したと思いますが、要は「業者相手に売ることができない商品を販売している」からでしょう。
業者は買取時にきちんと商品を1個1個鑑定して仕入れができるかどうか判断します。
ですが、一般人の多くはそんなことしませんし、できませんよね。
そうした人たち相手に商売をしているわけです。
つまり今回紹介されていた激安業者から仕入れる商品は、「限りなく怪しい」と結論付けざるを得ません。
ひょっとしたら「全部偽物」かもしれませんし、「一部偽物」かもしれません。
動画で紹介された業者から買って、すべて正規店に鑑定に出したわけではないので断定はしませんが、偽物は確実に混入していると見ていいでしょう。
本物が混じっている可能性も0ではありませんが、無数の商品の中から本物だけを的確に探し出す鑑定眼なんて、普通の人は持っていないはずです。
そんな有用なスキルがあるなら、多分せどりをやるよりも買取店で働くか、開業したほうがはるかに儲かります。
おいしい話の99%以上は詐欺
この動画を観たときに、一昔前に流行った「Amazonの0円仕入れ」を思い出しました。
Amazonの0円仕入れとは、良いレビューを書くことを条件に無料で商品を提供してくれる業者を探し、商品を仕入れるというものでした。
やり方も簡単で、本当に0円で仕入れができる夢のような手法でしたが、当然これはAmazonの不正レビューで規約違反にあたります。
Amazonのアカウントを永久凍結されてしまうリスクのある、大変危険な手法でした。
わずかな利益のために、今後莫大な利益を生み出す可能性のあるアカウントを凍結リスクに晒すなんて馬鹿げています。
当然筆者は皆さんにも「絶対手を出してはいけない」とお伝えしています。
詐欺の注意喚起としていつも言われていることですが、簡単にできて莫大な利益が出るなんて話があるなら、世の中全員がすでに手を出しているはずです。
「おいしすぎる話」には必ず何らかのリスクが潜んでいると思ってください。
もちろん筆者が知らないだけで、世の中には本当においしい話があるかもしれません。
ですが、筆者は世の中にあるおいしい話の99.99%くらいは詐欺か、隠れた(隠した)リスクのある方法だと思っています。
コピー品を仕入れると丸々大損!
「メルカリ激安古着転売ノウハウ」は「本物かどうかわからない商品を安く仕入れて本物として売りましょう」というひどく乱暴なものです。
そんな業者から仕入れた商品を販売して、もし偽物が混じっていたらどうなるでしょうか。
コピー品の販売は法律違反になるため、万が一コピー品を仕入れてしまった場合、その商品は売れません。(自分で使う分には違法になりません)
もし売ってしまった場合、販売者として責任を問われますし、詐欺事件として逮捕される可能性もあります。
さらにブランドから莫大な損害賠償請求を求められる可能性まであります。
「偽物だとは知らなかった」という言い訳も、数百円という常識外れの激安価格で仕入れていた以上「本物ではない可能性を予見していた」とみなされる可能性が高いです。
「メルカリ激安古着転売」で儲けられる金額は、せいぜい数十万円でしょう。
そんな金額のために逮捕、損害賠償のリスクを負うなんて馬鹿げています。
新しい販売方法を模索する姿勢は素晴らしいと思いますし、それを否定する気は全くありません。
ですが、新しい販売手法・儲け話を見つけたとき、「これ、本当に大丈夫か?」と疑う癖はつけましょう。
コメントを残す